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こんにちは、大原です。
今回は、「驚風之鍼(きょうふうのはり)」です。

前回の記事「二十九.丹毒之針(たんどくの針) 鍼道秘訣集を読む その36 」
にて、「丹毒」と「驚風」とを間違えないようにしないと、
患者を死に至らせてしまうので気を付けなさい
という記述がありました。

驚風」とは、小児のひきつけを起こす病をいい、
てんかんの一つの症状であるともいわれています。
驚風について、参考までに、
黄帝内経 素問』 奇病論篇(47)にて
関連する記述がみられます。

その一部を抜粋しますと、
帝曰、人生而有病巓疾者。
病名曰何。安所得之。
岐伯曰、病名為胎病。
此得之在母腹中時。
其毋有所大驚、氣上而不下、精氣并居。
故令子発為巓疾也。

(読み)
人、生まれながらにして癲疾(てんしつ)を病む者あり。
病 名付けて何というや。安(いづ)れの所にかこれを得るや。
岐伯いわく、病、名付けて胎病となす。
これ、これを母の腹中にあるときに得る。
その母、大いに驚く所ありて、気上がりて下らず、精気、並びて居す。
ゆえに子をして発して癲疾(てんしつ)とならしむるなり。

(意味)
母親が非常に大きな精神的ショックを受け、気が逆上し、
精気も同じように逆上したままで、その影響が胎児に波及して
癲癇の病となったのである。

「驚」という字がありますね。

さて、それではいつものように
鍼道秘訣集の内容をみていきましょう。


現代の読み方に直してみますと

急驚風は陽証にして癒えやすく、
慢驚風は陰証にして癒え難し。
二症の邪気出でる処違いあり。

急驚風は左の章門より出でて鳩尾へ邪気入り込み、
慢驚風は胃の腑より出でて真っ直ぐに鳩尾へ上がる乳食に傷らるる物なり。

驚風の針はあまり針数をすべからず、眼と見付けたる処を専らと針す。
諸病皆以て邪気を宗とする腹の観様を知る時は、
驚風と丹毒との違いこのごとし、見違うべからず。
邪気の図、左に記す。


驚風には急性のものと慢性のものがあり、
どちらも鳩尾に邪が向かうが、
その邪の出どころが違うとあります。
図を見るとわかりやすいですね。

前回の記事の「丹毒」における邪も
「鳩尾へ差し込むため似ている」とありましたが、
両方の脾募・肺先・肝相火に邪が出ているところが
大きな違いであると思います。

 

続きます。


〜Back Number〜
鍼道秘訣集を読む その1 →  鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
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鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事
鍼道秘訣集を読む その33 二十六.膈之針
鍼道秘訣集を読む その34 二十七.中風針之大事
鍼道秘訣集を読む その35 二十八.亡心之針
鍼道秘訣集を読む その36 二十九.丹毒之針


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
『黄帝内経 素問』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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