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12月6日(水) :告知!第6回、鍼灸学生の為の勉強会


こんにちは、大原です。
今回は、「瘧観之大事(おこりを診る これの大事)」です。




二十五.瘧観ヲコリミル之大事

ヲコリノ病証種種醫書シュシュイショ  モ記當流ニテハ肝瘧カンキヤク
キヤクノ二証ニ定ム腹ヲウカカフニ両ノワキ章門ヨリアハラ
ホネヘ邪氣コミ入アルハカンノ臟ヨリヲコルヲコリニテ寒
ネツハナハタシキ物シカシナカラ早ク平愈ヘイユスル也又兩
胃ノ腑ニ邪氣アルハ食モ進難ススミカタシ是ヲ
脾瘧ヒキヤクトモ  ヒ俗ニ虫瘧ムシヲコリトモ  ヒイユル事オソシ此証ハ
元来シツニアタリ脾胃ヒイ濕氣籠シツケコモリサルサンセ處ニ
食ナドニアテラレシ食傷スルノ後必ス變ジテ脾瘧
トナル物也イユル事ヲソシ療治悪敷アシケレバ必スワカ
人ハ虚勞キヨラウノ症ト成易ナリヤスク老人ハ又次第ニ草
臥大事ニ及ヒ腫氣ナト出終イテツイニハ死スル物也
針ノタテ様口傳多シ

 

図中の文字
脾瘧ノ邪気如  ルコト  シ
肝瘧ノ邪気如  ヘ  シ


現代の読み方にしていきます。

瘧(おこり)の病証、種種医書に記すと雖(いえど)も
当流にては肝瘧(かんぎゃく)・脾瘧(ひぎゃく)の二証に定む。

腹を診がうに、両の脇章門より豁骨(あばらぼね)へ邪氣込み入あるは、
肝の臟より発(お)こる瘧(おこり)にて、寒氣熱甚だしき物なり。
しかしながら、早く平愈するなり。

また、兩脾の募、胃の腑に邪氣あるは、食も進み難し。
これを脾瘧(ひぎゃく)とも云い、俗に虫瘧(むしおこり)とも云いて痊(い)ゆること遅し。

この証は元来濕(しつ)にあたり、
脾胃に濕氣(しっけ)籠(こも)りて散ぜざる所に食などにあてられ、
食傷するの後必ず変じて脾瘧(ひぎゃく)となる物なり。
痊(い)ゆる事遅そし。


療治悪敷(あし)ければ、必ず若き人は虚勞の証と成り易く、
老人は又次第に草臥(くたびれ)、
大事に及び腫氣など出で、終(つい)には死する物なり。
針の立様口伝多し。


瘧とは、マラリヤ、またはマラリヤ様の熱を言いますが、
ここでは瘧(おこり)についての夢分流の考え方が記されています。
意味からすると、
夢分流では瘧を「肝瘧」、「脾逆」の二つに区別するとあります。
それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。

肝瘧(かんぎゃく):
腹診において章門(肝相火)へ邪気が出るものは

悪寒発熱が激しいが、早く治りやすい。

脾瘧(ひぎゃく):
腹診において脾墓や胃の腑に邪気が出るものは、

もともと湿気にあたり、
脾胃(食物の消化を主る内臓や組織と大まかにとらえて良いと思います)
に湿気がこもっているところに食事によって負担がさらにかかることで
発病するもので、虫瘧ともいう。
治るには時間がかかる。

続きます。


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鍼道秘訣集を読む その1 →  鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
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鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
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鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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