こんにちは、大原です。
今回は、「丹毒之鍼(たんどくのはり)」です。




現代の読み方に直してみたいと思います。

丹毒(たんどく)と云うは、
總(そう)名にして軽重に仍(より)て苦からざる瘡(かさ)と、
大事なるとの分(わかち)あり。

俗の諺に早瘡(はやくさ)と云うが大事にして、
俗醫多くは驚風(きょうふう)と見迷う。
軽きをば脾疳(ひかん)なりなど云て藥違いにて
多く死(ころ)す事、腹の見様に口傳ある事を知ざれば最もなり。
此の書を見玉ふ本道針醫、今日よりして此の病症見損じ毛頭したまうべからず。
丹毒にて死を退(の)がれしむる事大きなる善根なり。
此上にても見違いあらば是非(ぜひ)無きなり。

扨(さて)、此の習は男の子は右の脾の募、
肺先より鳩尾へ向けて邪氣あり。又は章門へかけて邪氣あり。
女の子は左の章門、肺先、脾の募より鳩尾へ邪氣指し込みありて搐溺(ひくめく)。
驚風に似たり。
是母の胎内に有し時、母の瘀血を飲みし子必ず加様の症あり。

療治は鳩尾、兩の脾の募、肺先の邪を退け拂らう様に針すべし。
章門の邪氣を追拂(おっぱら)う時は搐溺(ひくめき)止むなり。
驚風とは各別(かくべつ)に違いあれども、
腹觀分け知らざれば見違いあるも最もなり。


丹毒とは細菌感染して赤く腫れ、発熱するものをいうようです。
「丹」は「赤い」という意味があることから
このように名づけられたのでしょう。

書かれている内容としては、
「驚風」という症状と診誤ってしまうと

間違った薬を与えて患者を苦しませてしまうとあり、
その診誤りを防ぐには、
腹診をして身体の状態を確認して
正しく診察することが肝要であると記されています。

治療についても、
やはり適確に邪を除くことが大事であるとしています。

続きます。


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鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
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鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事
鍼道秘訣集を読む その33 二十六.膈之針
鍼道秘訣集を読む その34 二十七.中風針之大事
鍼道秘訣集を読む その35 二十八.亡心之針


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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