こんにちは、大原です。
今回は「瀉(くだす)針」です。

この内容は前回の続きになります。
前回の記事 → 鍼道秘訣集を読む  その25(吐かする針)


十七.クタス
穴ハヘソノ下二三寸兩腎ノ間也針先ヲ下ヘ成
シテ深ク立ル法ナレドモ邪氣アラサレハタテズ傷
寒ニクダス針用ルトモ右ノ如シ

↑図で、上から
「吐スルニハ此處也」吐かするにはこの所なり
「瀉針ノ立處」下す針の立て所
と書かれています。
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現代の読み方にしてみます。

穴は臍の下二、三寸、兩腎の間なり。
針先を下へ成して深く立てる法なれども、
邪氣あらざればたてず。
傷寒に瀉す針用るとも右の如し。

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意味を考えてみます。

下す針をする場合には、臍の下2から3寸のところ、
両腎の間に針を立てる。
針先を下に向けて深く立てるというやり方であるが、
このところに邪気が無ければ針を立てない。
傷寒(カゼ)の病に対して、邪気を下す場合にも同様である。

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吐かせる針も、下す針も
邪気がある場合に行い、
吐かせる針の場合には針を上向きに、
下す場合には針を下向きに、
それぞれ邪気を向かわせる方向へ針を向ける点が
共通していますね。
また、それぞれ傷寒の病のときにも用いるという点が
共通しています。

続きます。


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鍼道秘訣集を読む その1 →  鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
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鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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