こんにちは、大原です。
今回は、「瘧毋之針(かたかいのはり)」です。


(読み)
瘧毋(かたかい)とは世俗の諺(ことわざ)なり。
軽(かろ)き疳(かん)なり。
左の脾の募より肺先、章門へ下りて、邪気あり。
又は右の脾の募、肺先、章門より出るもあり。
何(いず)れにも一方よりして出る。
世の詞(ことば)に双貝(もろかい)と云うときは
両方より出て鳩尾へ指し込む。この時、大事となる。
一方より出る時、専に邪気を退る時は愈ゆる。
両傍らより出て心の臟に込み入る時は治し難しとす。
治療、其の邪を見分け針すべし。
何(いず)れの病にても邪氣目あてなり。


今回の内容は、前回の「疳之針」の続きといえます。
軽い疳について述べられており、
左または右の(一方の)脾募・肺先・章門に邪が出るとあります。
鳩尾へ差し込むものは重く、
左右両方から出て(左か右の一方からだけではないのですね)
心の臓へ入り込んでいくときは治すのが難しいとされています。

「鳩尾に差し込むものは病が重い」とありますが、
私も臨床現場で腹診を行った際に、
鳩尾が落ち込んでいるなあと診ていて感じることがあり、
今回の内容が思い出されました。

また、専門学校時代に実技の先生が、
「肋骨が閉じて胸(鳩尾のあたりを指している)が小さくなっている場合、
治療をして、小さくなった胸が、肋骨が開いて大きくなっていると
その治療は成功だ」というようなことを言われたことを
ちらっと思い出しました。

イメージ的に、
肋骨が内側に閉じてくると(そのように感じると)
呼吸が浅く小さくなるように感じますが、
それが緩んで開いてくるかどうかは
一つ重要なポイントなのですね。

続きます。


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鍼道秘訣集を読む その37 三十.驚風之針
鍼道秘訣集を読む その38 三十.驚風之針


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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