神社へ参拝(1月 大阪にて)
神社へ参拝(1月 大阪)

修行生の大原です。
最近、テレビでは、健康番組や
病院を舞台にしたドラマなどが増え、
テレビから西洋医学に関する用語や知識などに
触れる機会が増えたように思います。

そのようなメディアの影響によって、
病気知らずの方でも
西洋医学の病名や用語などを
ご存知の方は多いと思います。

ですが、東洋医学に関するものは、
触れる機会があまりないのでは
ないしょうか。

たとえば、「積聚(せきしゅう、しゃくじゅう)」とは、
腹内に塊が生じ、痛みまたは脹りを
自覚する症状をあらわす東洋医学用語です。

これは、いわゆる、腫瘍やしこりなどの
組織の塊のようなものをいうのだと思います。

「積」「聚」はもともと別の意味で、
「積」は有形で、固定して動くことはなく、
痛む部位も一定で、瘀血の滞りが主となります。
一方、「聚」は無形で、集まったり散ったりし、
痛む部位も変化し、気機の滞りが主となります。

実際の症状において、
どこまでが「積」で、どこからが「聚」なのかと、
両者を区別できないことから、
まとめて「積聚」といいます。

以下、積聚の主な原因です。

(1)情志の失調
憂いや思慮、抑鬱怒りなどにより、
情志が抑鬱され、肝気を
解き放つことができなくなると
臓腑がバランスを崩し気機が滞る
脈絡が阻害されるため、血がめぐらず瘀血となる。
時間の経過に伴い積聚となる。

(2)飲食の不摂生
飲食の不摂生などにより
臓腑がバランスを崩すと脾の運化作用が失調する。
その結果、水穀の精微が正常にめぐらず
湿濁が凝結して痰を形成する。
痰が気機を妨げ血が順調にめぐらず
痰濁と気血が結びつくと積聚となる。

(3)寒湿の寒受
寒湿の侵入により脾陽が不足すると
湿痰が体内に溜まる。
湿痰によって気機が妨げられ気血が凝結し、
積聚が形成される。

原因は他にもありますが、
上記のように、長い間、
気血の循環が滞ることで形成される塊
積聚であるといえます。

西洋医学では、しこりや腫瘍は
手術によって除去するという方法が
とられやすいかと思います。

東洋医学では、上記の原因に対し、
疏肝理気、化瘀活血、化痰、散寒などの治法を施し、
気血の滞りを解く治療を行います。

どちらが優れているということではありませんが、
鍼や灸という、西洋医学にとっては
軽度の刺激程度にしかとらえられていないものが
難病を快方に導く事実は、
無視できないことだと思います。

西洋医学だけでなく、東洋医学が
メディアでもっと取り上げられないのかな、
とテレビを観ていてふと感じました。


参考文献:
『中医内科学』 東洋学術出版社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 燎原

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

3 コメント

  1. こんにちは。
    西洋医学でよく聞く、悪性とか良性という物について、東洋医学ではどのように捉え対処されますか?
    東洋医学は漢字や聞きなれない言葉は難しいのですが、実際に身体で感じる様々な感覚に
    ちゃんと意味がある事を理論だてて説明できてしまうところが面白いですね。
    「気のせい」にちゃんと対処してもらえるから心強いです。

  2. anokhi さん

    こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    本日、
    この記事の投稿者である大原が、
    お休みで不在のため、
    今暫くお返事はお待ち頂けますでしょうか。

    東洋医学に御興味をお持ちのようで
    いち鍼灸師として嬉しく思います。

  3. anokhiさん、コメントありがとうございます。
    返事が遅くなり、すみません。

    腫瘍に関して、西洋医学では、
    上皮性のもので、かつ進行が比較的早いものを悪性と定義しています。
    東洋医学では、簡単に言いますと、湿痰や滞った気血、熱などの邪実が
    絡み合って作られると捉え、
    それらがきつく絡み合っているものほど
    進行していると考えて良いかと思います。

    東洋医学では、しこりや腫瘍そのものに着目するのではなく、
    絡み合っている邪実がどの程度かを、
    脈や舌の状態などによって診ていきます。

    原因となっている生活習慣なども含めて、
    それらの邪実をほどいていくということが
    治す上で大切なのだと思います。

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