下積み修行中の大原さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学び成長して参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参りますので
どうか見守り 応援してやって下さい。



修行生の大原です。
今日からWBC(ワールドベースボールクラシック)が開幕しますね。
毎年のプロ野球とは違い、世界一をかけた大会なので、
ぜひ日本チームには優勝を狙って3連覇して欲しいなと思います。

先日、ニュース番組で、WBCのメンバーに選ばれた
広島の前田投手の特集をしていました。

前田投手は、ピッチャーとしての自身の強みを
「他のピッチャーに比べて、1球で、
その打者の弱いところを把握する力に長けている」
と自己分析されていました。
すなわち、打者の雰囲気や、ボールの見逃し方、
空振りの仕方などから、その打者の特徴を、
短時間で感じ取ることができるということです。

これは、東洋医学の「望診」にも
通じることだと思います。

東洋医学の診断は「望」「聞」「問」「切」の四診で行い、
総合的に分析を行うことで正確な弁証を行います。
これを「四診合参」といいます。
ここで、「望」とは「望診」のことで、
その人の顔色や舌などを観察して異常を察知し、
内臓の病変を判断します。

スポーツと医学では、目的は全く異なりますが、
スポーツ選手の鋭い観察力は
見習うべきものがあるのではと思いました。

現在知られている古医学書の一つ「難経」は、
前漢後期から後漢前期に
記されたという説がありますが、
その中に四診について書かれた内容があります。

「難経」六十一難
”經言.望而知之.謂之神.
聞而知之.謂之聖.
問而知之.謂之工.
切脉而知之.謂之巧.
何謂也.然.
望而知之者.望見其五色.以知其病.”

(経に言う。望みて之を知る、之を神と謂う。
聞いて之を知る、之を聖と謂う。
問うて之を知る、之を工と謂う。
脉を切して之を知る、之を巧と謂うとは何の謂ぞや。
然るなり、望みて之を知るとは其の五色を望み見て
以て其の病を知るなり。)

この文章の解釈は諸説ありますが、望診は
四診の中でも重要な位置にあったと
言えるでしょう。

さらに、中国最古の医学書「黄帝内経」にも
「望診」に関する記載があります。
ほんの一部ですが抜粋します。

「素問」陰陽応象大論
”以表知裏”
(表を以て裏を知る)
→体の中の状態は、体表に現れる。

「霊枢」五色
”其間欲方大.去之十歩.皆見干外.如是者壽.必中百歳”
(其の間、方大にして、これを去ること十歩にして、
皆外に現れんと欲す。是くの如き者は寿、必ず百歳にあたる)
→少し離れ、薄暗いところなどで、
その人がすっきり、はっきり見え、何か感じられたら、
百歳を超えるほど生きられる。

「霊枢」九針十二原篇
”五臓有疾也、応出十二原、十二原各有所出.”
(五臓に疾あらば応十二原に出ず)
→内臓に病があれば、必ず十二経脈上の原穴に反応が現れる。

また、紀元前5世紀の頃の名医「扁鵲(へんじゃく)」は
「四診」を重視したと言われており、
産婦人科医、老人の痺証の治療医、小児科医として
活躍したとされています。

前漢の名医「淳于意(じゅんうい)」は、
望診や切診(脈診)を重視したとされています。
「淳于意」は、「診籍」と呼ばれる、今でいうカルテを
初めて用いたことで知られています。

このように、古代中国の民間医家の間でも、
「望診」を含めた四診は、重要な診断方法として
用いられていたようです。

当時は出版技術もなく、四診を学ぶためには
現代と比べて多くの労力が必要だったと思います。
それ以上に、長い歴史の経験則をまとめた
古人の叡智と努力に敬意を持たざるを得ません。


参考文献:
『体表観察学』 緑書房
『医療概論』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学における実践から理論へ パート1』 たにぐち書房
『基礎中医学』 燎原

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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