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【原文】
本腑補瀉温涼薬
補:
粟殻、牡蠣、木香、蓮子、肉豆蔲、訶子、倍子、竜骨、榛子、砂糖、
糯米、石蜜、椶櫚子。

 

<大腸瀉薬に続く>

【現代語訳】
大腸経の補瀉温涼薬
補薬:
粟殻、牡蠣、木香、蓮子、肉豆蔲、訶子、倍子、竜骨、榛子、砂糖、
糯米、石蜜、椶櫚子。

 

———————————————————————————
粟殻ぞつこく

イネ科のアワの種子。
性味:甘・微寒
帰経:肺・胃・大腸
効能:
①益陰和胃
・脾胃虚弱や胃気不和の睡眠障害に。
方剤例 → 半夏秫米湯。
・陰虚の睡眠障害にも。

牡蠣ぼれい

牡蠣
牡蠣

イタボガキ科マガキ、その他同属動物の貝殻。
性味:鹹・渋・微寒
帰経:肝・胆・腎
効能:
①鎮驚安神
・心神不寧の驚きやすい、びくびくする、焦燥感、不眠等に。

②益陰潜陽
・熱病傷陰・虚風内動の手足のひきつり、震え等に。
方剤例 → 二甲復脈湯。
・肝陰虚や肝陽上亢のふらつき、頭痛、耳鳴り等に。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。

③収斂固脱
・自汗や寝汗に。
方剤例 → 牡蠣散・柏子仁丸。
・遺精・滑精に。
方剤例 → 金鎖固精丸。
・不正性器出血や月経過多、帯下に。
方剤例 → 清帯湯・牡蠣丸。

④軟堅散結
・頚部のリンパ節腫やしこり、肝腫・脾腫に。
方剤例 → 消瘰丸・治肝脾腫大方。

⑤その他
・胃痛呑酸に用いる。

木香もっこう

木香『中医臨床のための中薬学』より
木香『中医臨床のための中薬学』より

キク科のトウヒレン属の根部。
性味:辛・苦・温
帰経:肺・肝・脾・胃・大腸・三焦
効能:
①行気止痛
・胃腸気滞の腹満や腹痛、嘔吐など。
方剤例 → 木香調気散・香砂二陳湯。
・食積や湿熱の腹痛や便秘、下痢に。
方剤例 → 香連丸。

②健脾消食・止瀉
・脾胃気虚の気滞による少食、腹満、食欲不振などに。
方剤例 → 香砂六君子湯・香砂枳朮丸。

◉蓮子肉

蓮子肉『中医臨床のための中薬学』より
蓮子肉『中医臨床のための中薬学』より

ハスの種子で、蓮肉とも称す。
性味:甘・渋・平
帰経:脾・腎・心
効能:
①健脾止瀉
・脾虚の慢性水様便に。
方剤例 → 参苓白朮湯・啓脾湯。
②養心安神
・心神不寧の不眠や心悸に。
方剤例 → 清心蓮子飲。
③益腎固精
・腎虚の遺精や不正性器出血や帯下に。
方剤例 → 蓮肉散。

肉豆蔻にくずく

肉豆蔻『中医臨床のための中薬学』より
肉豆蔻『中医臨床のための中薬学』より

ニクズク科ニクズクの成熟した種子から
種皮を除いたもの。
性味:辛・温
帰経:脾・胃・大腸
効能:
①渋腸止瀉
・脾虚寒による慢性泥状~水様便、脱肛に。
方剤例 → 養臓湯。
・脾腎虚寒の五更泄瀉に。
方剤例 → 四神丸。

②温中行気
・脾胃虚寒の気滞による腹痛や腹満、嘔吐に。
方剤例 → 肉豆蔻丸。

訶子かし

訶子『中医臨床のための中薬学』より
訶子『中医臨床のための中薬学』より

シクシン科のミロバランの果実。
性味:苦・酸・渋・平
帰経:肺・大腸
効能:
①渋腸止瀉
・寒熱の問わない慢性下痢に。
方剤例 → 訶子散。
・虚寒の慢性泥状~水様便や脱肛に。
方剤例 → 訶子皮散。

②斂肺下気開音
・肺虚の呼吸困難や咳嗽、嗄声、失音に。
方剤例 → 訶子湯・訶子飲・訶子清音湯。
・痰火鬱肺の咳嗽や失音などに。
方剤例 → 訶黎勒丸。

③その他
・性器出血や帯下、頻尿に。

五倍子ごばいし

五倍子『中医臨床のための中薬学』より
五倍子『中医臨床のための中薬学』より

ウルシ科ヌルデの葉に、
アブラムシなどが寄生し形成される
虫癭を熱湯に浸して乾燥させたもの。
性味:酸・鹹・寒
帰経:肺・大腸・腎
効能:
①斂肺降火
・肺陰虚証の慢性咳嗽に。

②渋腸止瀉
・慢性下痢や脱肛に。
方剤例 → 玉関丸。

③渋精縮尿
・遺精や遺尿に。
方剤例 → 玉鎖丹。

④斂汗生津
・盗汗や消渇に。

⑤固渋止血
・血尿や血便、性器出血に。
方剤例 → 玉関丸。
・帯下にも。

⑥その他
・湿疹や化膿症、脱肛、子宮脱に。

竜骨りゅうこつ

竜骨『中医臨床のための中薬学』より
竜骨『中医臨床のための中薬学』より

古代の大型哺乳動物の化石とされ、
主にゾウ類、サイ類、ウマ類、シカ・ウシ類など。
性味:甘・渋・平
帰経:心・肝・腎
効能:
①鎮心安神
・心神不寧の動悸や健忘、多夢などに。
方剤例 → 桂枝加竜骨牡蠣湯・枕中丹・安神定志丸。

②平肝潜陽
・肝陰虚陽亢のふらつき、めまいなどに。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。

③収斂固脱
・陽虚の自汗に。
方剤例 → 二加竜牡湯。
・陰虚の寝汗に。
・腎虚の遺精に。
方剤例 → 竜骨湯・金鎖固精丸。
・脾虚の慢性下痢に。
方剤例 → 竜骨散。
・性器出血や月経過多、帯下に。
方剤例 → 清帯湯。

④生肌斂瘡
皮膚の潰瘍や外傷出血に。

石蜜せきみつ

ハチが集めた花蜜。
性味:甘・平
帰経:肺・脾・大腸
効能:
①潤腸通便
・虚弱な者や津液の虚による腸燥便秘に。

②清熱・潤肺止咳
・肺燥の咳嗽や無痰に。
方剤例 → 瓊玉膏。

③補中・緩急止痛
・脾胃虚弱による腹痛に。
方剤例 → 蜜草煎。
・寒疝の腹痛、四肢の冷えに。
方剤例 → 大烏頭煎。


城南離宮の庭
城南離宮の庭

 


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版
『素問考注 上』 学苑出版社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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