マンスリーアーカイブ 3月 2007

手の陽明大腸経

手陽明大腸経    大腸経流注写真                   クリックで拡大いただけます。   (別ウィンドウで開きますが、全画面で表示して下さい。    収縮することによる文字の荒れが確認されています。)  経穴学  ○商陽(井金穴)  取穴部位 示指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。 由来 『素問』六元正紀大論では、「大」「小」から陰陽の 区別をしている。「商」は金の音である。手の陽明経と 手の太陰経は表裏関係にあり、金に属している。 また手の陽明経は陽に属することから商陽と命名された。 ○二間(滎水穴) 取穴部位 第2中手指節関節の下、橈側陥凹部に取る。 由来 「間」とは間隙のこと。本穴は第2中手指節関節の下の 陥凹にある。また本経の2番目の経穴であることから 二間と命名された。 ○三間(兪木穴) 取穴部位 第2中手指節関節の上、橈側陥凹部に取る。 由来 「間」とは間隙のことである。本穴は第2中手指節関節の上の 陥凹にある。また本経の3番目の経穴であることから 三間と命名された。 ○合谷(原穴) 取穴部位 第1・第2中手骨底間の下、陥凹部、第2中手骨よりに取る。 由来 『素問』気穴論では肉の大会するを「谷」とし、小会するを「谿」 としている。本穴は母指と示指が会うところであり、指を開いたときの 形が深い谷のようであることから合谷と命名された。 ○陽谿(経火穴) 取穴部位 手関節後橈側にあり、母指を伸展してできる長・短母指伸筋腱の間の 陥凹部に取る。 由来 手背は「陽」であり、両筋の間の陥凹を「谿」という。 このため陽谿と名付けられた。 ○偏歴(絡穴) 取穴部位 前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上3寸に取る。 由来 不正を「偏」といい、通過を「歴」という。 大腸の経別はここより斜めに行き腕を通過し、また別れて手の太陰経に 走ることから、偏歴と名付けられた。 ○温溜(郄穴) 取穴部位 前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上5寸、 長・短橈側手根伸筋の間に取る。 由来 「温」とは陽気を指し、「溜」は「流」に通じている。 陽気が流れるという意味で温溜と名付けられた。 ○下廉 取穴部位 前腕後橈側にあり、曲池穴の下4寸、長・短橈側手根伸筋の間に取る。 由来 「廉」とは菱形の角の意味である。本穴は曲池の下4寸にある。 肘を屈曲し拳をにぎると、この部分の筋肉が菱形に隆起することから 下廉と命名されている。 ○上廉 取穴部位 前腕後橈側にあり、曲池穴の下3寸、長・短橈側手根伸筋の間に取る。 由来 「廉」とは菱形の角の意味である。肘を屈曲し拳をにぎると、この部分 の筋肉が菱形に隆起する。本穴は下廉の上1寸にあることから上廉と名付けられた。 ○手三里 取穴部位 前腕後橈側にあり、曲池穴の下2寸、長・短橈側手根伸筋の間に取る。 由来 「里」は邑、居るの意味である。本穴は肘髎より3寸離れており、 大脈で居るところであるから手三里と名付けられた。 ○曲池(合土穴) 取穴部位 肘を屈曲してできる肘窩横紋の外方で、上腕骨外側上顆の前に取る。 由来 肘を屈曲させたとき、本穴の部位に陥凹ができる。 この形が浅い池に似ていることから、曲池と名付けられた。 ○肘髎 取穴部位 上腕骨外側上顆の上際で、上腕三頭筋外縁の陥凹部に取る。 由来 「肘」は肘尖を指し、「髎」とは骨の間隙を指している。 本穴は肘の骨の尖端にあるので、肘髎と名付けられた。 ○手五里 取穴部位 曲池穴から肩髃穴に向かい上3寸に取る。 由来 「里」は邑、居るの意味である。本穴は肘関節外側上顆の上5寸に あり、ちょうど大脈の中央にあることから、このように名付けられた。  ○臂臑 取穴部位 肩髃穴から曲池穴に向かい下3寸、三角筋の前縁に取る。 由来 上肢を「臂」といい、上臂を「臑」という。その所在する部位にもとづき 臂臑と命名された。 ○肩髃 取穴部位 肩関節の前方、肩峰と上腕骨頭の間に取る。 (便法)患者の上肢を水平に持ち上げ、肩関節部の前後にあらわれる凹みのうち、 前の凹みに取る。 由来 「髃」とは肩端骨を指す。すなわち肩甲骨の肩峰端のことである。 本穴はその下方にあるため、肩髃と名付けられた。 ○巨骨 取穴部位 鎖骨外端と肩甲棘の間の陥凹部に取る。 由来 「巨骨」とはもともと鎖骨を指している。本穴はその後方にあるため 巨骨と命名された。 ○天鼎 取穴部位 扶突穴の後下方1寸、胸鎖乳突筋後縁に取る。 由来 高いところを「天」という。「鼎」は古代の銅器であり、足が3本あるものをいう。 本穴は缺盆、気舎と三角をなすことから、天鼎と命名されている。 ○扶突 取穴部位 喉頭隆起の外方3寸で下顎骨の下方1寸に取る。 由来 高く隆起しているところを「突」という。ここでは喉頭隆起を指している。 「扶」とは現在の4横指のことで、同身寸の3寸にあたる。本穴は喉頭隆起から 3寸離れているため、扶突と名付けられた。 ○禾髎 取穴部位 水溝穴の外5分に取る。 由来 唇にある髭は「禾」と形容される。また「髎」とは間隙のことである。 本穴は犬歯窩部にあるため、禾髎と名付けられた。 ○迎香 取穴部位 鼻孔の外5分、鼻唇溝中に取る。 由来 本穴は鼻づまりがあり、臭いを嗅ぎとれないものを治療することができる ことから迎香と名付けられた。 参考文献:『針灸学』東洋学術出版社 古典記載  『黄帝内経霊枢経脈篇』より 経脈流注 大腸手陽明之脈。起於大指次指之端。循指上廉。出合谷両骨之間。上入両筋之中。循臂上廉。入肘外廉。上臑外前廉。上肩出骨之前廉。上出於柱骨之会上。下入缺盆。絡肺下膈、属大腸。其支者。従缺盆。上頚。貫頬。入下歯中。還出挟口。交人中。左之右。右之左。上挟鼻孔。 経別流注 手陽明之正。從手循膺乳。別于肩髃。入柱骨。下走大腸。屬于肺。 上循喉嚨。出缺盆。合于陽明也。 十五絡流注 手陽明之別。名曰偏歴。去腕三寸。別入太陰。其別者。上循臂。乘肩髃。上曲頰偏齒。其別者。入耳合于宗脈。 経筋流注 手陽明之筋。起于大指次指之端。結于腕。上循臂。上結于肘外。上臑。結于髃。其支者。繞骨胛。挾脊。直者。從肩髃上頸。其支者。上頰。結于キュウ。直者上出手太陽之前。上左角。絡頭。下右頷。 経脈病証 是動則病齒痛頸腫。是主津液所生病者。目黄口乾。鼽衄喉痹。肩前臑痛。 大指次指痛不用。氣有餘當脈所過者熱腫。虚則寒慄不復。 十五絡病証 實則齲聾。虚則齒寒痹隔。 経筋病証 其病當所過者支痛及轉筋。肩不挙。頸不可左右視。

{写真} ほっこり

    「おじいちゃん ほっこり。」 しゃべり疲れたのか。 しばし椅子に座ってほっこりしてらっしゃいました。  この御方、足が痛いと真夜中にべそをかいて私を呼びつけます(笑) Nikon D200+ AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18~200mm F3.5~5.6G (IF)

逆子 ~胎位不正について~

逆子に対して、鍼灸が非常に効果的であるということは 大変有名な話です。  「逆子の灸」というものがあり、古くから言い伝えられ、 多くの臨床家が「逆子の灸」、つまり「至陰にお灸」を することで、逆子の治療に臨み、多くの成果を残しているようです。 伝統的な治療法として、逆子=至陰のお灸と単純に取穴することが 多いですが、他の病気と同様にしっかりと病因病理を立てることが 重要になります。 中医学ではこの逆子に対して、どのように考えているかをみてみましょう。 逆子(胎位不正) 妊娠30周後に現れる子宮体内の胎児の位置異常を言う。 胎位の異常には、臀位(骨盤位)・横位・反屈位があり、 古典には倒産・横産・偏産の記載があるという。 臀位が最も多いとされ、胎位不正は難産の原因ともなってくる。 以下に中医学における逆子の分類をまとめてみました。  気血両虚による胎位不正 気血の弱っている婦人が妊娠することで、ますます気血を消耗し、 胎児自身に影響するため、動きが無力化し胎位不正が起こる。 ○顔色が悪い、手足に力が入らない(四肢無力)、倦怠感があるなどの 気血不足の症状を伴う。 脈:滑 妊娠による脈象である。 湯液:八珍湯に該当 鍼灸:至陰に加え、関元、足三里にて気血を補う 気機鬱滞による胎位不正 ストレスや情緒の抑鬱によって、肝気が滞ったり、寒邪を受けて 気血が擬滞したり、胎児が大き過ぎて気機を塞いだり、 どのような原因でも気機を滞らすことによって、 結果、胎位不正が起こる。 ○胸部のもだえ感(胸悶)、お腹の脹り(腹脹)、よく溜め息が出る、 気分が優れずうつ状態になりやすい、などといった症状を伴いやすい 脈:滑 同じく妊娠を表す 鍼灸:至陰に加え、気海、内関、太衝などで気の流れを促す 血滞湿停による胎位不正 妊娠後期に、血や湿が内に滞り、気の流れを阻害して(気機不利) 起こる胎位不正。 ○気の滞りのために血まで滞り(気滞血瘀)があれば、 お腹が脹って痛む ○水湿の流れが悪くなると、尿量が少なくなったり、 下肢の浮腫(足のむくみ)などを伴う 脈:沈弦 痰飲の内結を表すため、このような脈象になると中医学ではされている。 鍼灸:至陰に加え、三陰交、陰陵泉を加えることで、 血や湿の停滞を改善させる。 古典記載 『鍼灸大成』:「横生死胎:太衝、合谷、三陰交。横生洗出:右足小指尖」

{写真}  和み

    <おじいちゃん 和み> 昔は鬼と呼ばれた人も今では丸くまりました。 Nikon D200+ AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18~200mm F3.5~5.6G (IF)

永富独嘯庵

永富独嘯庵が名医山脇東洋の門に学んでいた頃の話である。 山脇東洋は日本で最初に人体解剖を試みた名医であるが、 (『蔵志』という解剖書があります) ある時から山脇東洋が茶室を建てたり、 茶道を嗜み侘び寂びの世界に入りびたっていたそうである。 高価な茶碗などを愛するあまり、 門下生の教育も怠りがちになる時もあった。 ある日,独嘯庵が東洋不在の間に茶室に入り、 茶碗を大きな踏み石めがけて打ちつけ、こなごなに打ち砕いてしまう。 独嘯庵はその場に座し、東洋の帰りをじっと待った。 帰宅した東洋はこの有様を眺めるが一言も発しない。 「申し訳ありません」と詫びる独嘯庵。 だが東洋は無言。 一目見れば、茶碗を壊したことは瞭然である。 東洋は茶室に入って座すること一時半、 やがて静かに襖が開き、東洋は静かな口調で言った。 「余が悪かった。許せよ。」と一言。 意外の言葉に独嘯庵の眼からハラハラと涙がこぼれた。 「申し訳ありません。近ごろ、先生が茶を重んじられ、 門下生の教育を怠りがちのご様子。 茶碗と弟子とどちらを愛されるやと試みるつもりで、先生の大切なお品を壊しました。 ただいま、先生の偉大なお心に接し、恐縮の至りです。お許し下さい。」 美しい逸話である。 名医であるとともに非常に人としての心の葛藤を よく見て取ることが出来るが、やはり最後には医を貫くと。 そこに私は素晴らしいものを感じる。 独嘯庵は師東洋の茶碗を割り、その心を試した。 同じように昔、観修寺経敬が茶室を割り、珍奇なものをもとあそんでいる後西院天皇を戒めたという逸話があり、 かの森鴎外が次のような独嘯庵を讃える詩が残している。 嘯庵老師を試む 経敬は天子を諫めたり  茶盞 一砕の中 千歳 双美伝わる 同じく森鴎外が永富独嘯庵に対して若き日次のように述べている。 「自分の身のまわりの人は、外見は立派だが張子の虎のようなもので談ずるに足りない。 医界にもいまだ並外れた奇才の持ち主にめぐり遭ったこともない。 私が幽明を異にしている昔の人と交わりを 行っていることを怪しみ給うな。 私の尊敬しているのは古人の永富独嘯庵一人だけであるということになろう。」 次に永富独嘯庵の言葉を紹介しよう。 診病年多為技年拙。 益知究理易応事難矣。 (病を診すること年ごとに多きに技為すこと年ごとに拙し。 益々知る、理を究ることは易く、事に応ずることは難きことを。)      (参考文献:荒井保男『医の名言』中央公論新社)

ライカの本

  M型ライカとレンズの図鑑 こんなの出てました。 即買ってしまいました。 ライカファン必見。 完全に趣味の話です、ごめんなさい。

{写真}   野良猫

Nikon D200+ Ai AF Nikkor 50mm F1.4D

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