隕石落下の様子 PetaPixelより
隕石落下の様子 PetaPixelより

こんにちは、為沢です。

先日、ロシアで隕石が落下しました。
数多くの動画が報道されていましたが
凄かったですね。。ロシア宇宙庁によると、
推定約10t・秒速30kmで隕石が落ちてきたみたいです。
いや〜、衝撃波ですか。
音速超えるとあんな爆撃音が鳴るんですね。
「いつ隕石落ちてきてスコーンっと
頭打って逝ってしまうかわからんな〜」なんて
友人と昔よく話をしてましたが、
あれではスコーンどころじゃないですね。
怪我人が多数出たので冗談では済まない話なのですが
死者が出なくて良かったです。
隕石には気を付けましょう。(無理か)


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)百八章と百九章。
百八章では、肝乗脾の病態の脈証および治法について述べており、
百九章では、肝乗肺の病態の証と治法について述べている。


弁太陽病脈証并治(中)百八章

傷寒、腹満譫語、寸口脉浮而緊、此肝乗脾也、
名曰縦、刺期門。五十八。

和訓:
傷寒、腹満譫語し、寸口の脉浮にして緊、此れ肝脾に乗ずるなり。
名づけて縦と曰い、期門を刺せ。五十八。


傷寒、腹満譫語、寸口脉浮而緊
傷寒し、腹満譫語するというのは陽明裏実証に似通っている。
しかし、脈浮にして緊は太陽証の脈証に似ている。
この脈を『脈経』では
「脈浮にして緊の者を弦という。弦は肝脈をなす。」
此肝乗脾也
『内経』では「脾は腹を主る。」「肝は語を主る。」
つまり、この場合「腹満譫語」とは肝気が旺盛になって
直接脾土を克したことにより生じた症状と考えられる。・名曰縦、刺期門
「縦」という言葉は邪の勢いが強くなりすぎて、
手がつけられない様子を表現したもので、この場合は肝木が脾土を克した状態を指している。

足厥陰肝経の「期門」(上記画像を参照)に鍼をすれば
肝経の熱邪を瀉して、その勢いが強くなった者を制することができる。

提要:
肝乗脾の病態の脈証および治法について。

訳:
傷寒に罹り、腹部が膨満して譫語を発し、寸口の脈象が浮緊であれば、
肝木が脾土を乗犯した状態で、これを「縦」と名づけ、期門穴を鍼刺して治療する。
第五十八法。


弁太陽病脈証并治(中)百九章

傷寒發熱、嗇嗇惡寒、大渇欲飲水、其腹必満。
自汗出、小便利、其病欲解、此肝乗肺也、
名曰横、刺期門。五十九。


和訓:
傷寒發熱し、嗇嗇として惡寒し、大いに渇して水を飲まんと欲し、其の腹必ず満つ。
自汗出で、小便利すれば、其の病解せんと欲し、此れ肝肺に乗ずるなり。
名づけて横と曰い、期門を刺せ。五十九。


傷寒發熱、嗇嗇惡寒、大渇欲飲水、其腹必満
傷寒でゾクゾク惡寒する太陽証であることを示すが
大いに渇し腹満というのは陽明証を示している。
強い口渇があるのに水を飲むと腹が張るということは、尿が出ないためである。

太陽は表を主り、肺は皮毛を主ると同時に表も主るので、
表病は肺の宣発・粛降作用に影響を与える。
肺は水の上源であり、下方に津液を巡らせて水道をスムーズに通しているから
肺がこの作用を失調すれば、外は無汗となり、下では小便の出が悪くなる。

自汗出、小便利、其病欲解
自ら汗が出て、尿が通じるということは
肺の粛降作用が正常化しあことを示すため、病は治癒に向かう。

此肝乗肺也
肺気の宣発・粛降作用が弱まれば、
肝木の勢いが強くなったものを抑えることができなくなり、
肝木が火旺し、反対に肺を克す木火刑金となる。
さらに津液がひどく傷ついて熱を生じるので、
口渇が強く水を飲みたがるが、
水を飲んでも小便が出にくいため、必ず腹満が現れる。
「肝肺に乗ず」とあり、これは肝木が肺金の虚に乗じて、
本来ならば克されるところを、反対に克したことにより生じた症状である。

名曰横、刺期門
「横」という言葉には、普段ではしないような行動を取るという意味があり、
ここでは裏の肝木が肺金を逆に克したことを指している。

「刺期門」とは、肝邪を瀉すことで肝邪の勝手な行動を止め、
さらに肺気の宣発・粛降作用を回復させるのである。
それにより自汗が生じ、小便がよく出るようになれば、病は治ろうとしている。

提要:
肝乗肺の病態の証と治法について。

訳:
傷寒の病で發熱し、ブルブルとした惡寒があり、
強い口渇のために水を飲みたがり、すると患者の腹部は膨満する。
もし自然に汗が出て、尿もよく出ていれば、病は治癒に向かっており
これは肝木が肺金に乗犯した、「横」と呼ぶ状態で
期門穴を鍼刺して治療せねばならない。第五十九法。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
『東洋医学講座・取穴篇』  自然社
『図説 東洋医学〈基礎篇〉』 学研

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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