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こんにちは、新川です。

今回は
古代中国のお酒の話です。

農耕が盛んになると余剰な穀物が増え、
酒の原料を確保することが出来、
酒の製造量が増える。
このように農業の発展と酒は切っても切れない関係にあったようです。

殷代の遺跡から酒造に関わる器具が発掘されているので、
実際に数千年前から製造・消費されていたのでしょう。

古代中国における酒の起源の一つとして、
黄酒の創始者ともいわれる
儀狄ぎてきという人物がおります。
夏時代(紀元前1900年頃 – 紀元前1600年頃)の禹王に
儀狄が穀物から出来た酒を献上したところ、
あまりの美味さに
後世、この美酒に溺れ、誤り、国家を滅ぼす者が現れる事を恐れ、
儀狄を遠ざけ重用しなくなったとの逸話があるように、
酒によって社会が乱れないように
それに関わる法律やルールが作られていきます。
今も酒に酔って前後を見失う人がいますが、
数千年前から人間は変わらないもんです・・

酒がどのような場面に用いられていたかというと、
祭壇に供える神聖なものという利用から、
祭りや宴会など特別な行事に振る舞われるようになり、
徐々に一般に普及していったと考えられます。

東洋医学の古典にも酒に関する記述があり、
『黄帝内経素問』の
湯液醪醴論篇には、
湯液とうえき醪醴ろうれいという薬酒について綴られており、
それ以外にもいくつかの篇に“酒”の記載があります。
玉版論要篇(治療に薬酒を使用)
腹中論篇(鼓脹を鶏矢醴けいしれい(薬酒)を用いて治療)
風論篇(飲酒し風にあたると漏風を生じる)
厥論篇(酒が胃に入ることでおきる熱厥について)
刺禁論篇(酔っ払いに鍼をするのは禁忌)
繆刺論篇(薬酒と思われるものの作成法)

その後の書物にも酒についての記述がなされていきます。

名医別録(5〜6世紀頃の著作。著者は陶弘景)には、
酒、味苦、甘、辛、大熱、有毒。主行薬勢、殺百邪悪毒気
とあり、
お酒を飲むと、
身体が熱くなりますが、
この「大熱」の作用を利用して、
薬の効能を促進させる「主行薬勢」を行っていたのでしょう。
また、
「有毒」でもありながら
「百邪悪毒気を殺す」と一見矛盾しているようにも思いますが、
過剰に摂取した際の弊害を「有毒」と示し、
元々神事などで使われていたことから、
穢れを祓う意味で
「百邪悪毒気を殺す」と表されたという考えもあるようです。

また、
本草綱目(1578年の著作。著者は李時珍)によると、
少飲則和血行気、壮神御寒、消愁遺興、痛飲則傷神耗血、損胃失精、生疾動火、俗夫沈酒無度、
酔以為常者、軽則致疾敗行、甚害喪邦国亡家而項身亡命、其害不勝言哉。
とあり、
概要としては、
少ない量だったら身体に良いけど、
飲みすぎたり際限なく飲み続けると大変なことになるから
十分に気をつけること、
と戒めの文章となっております。

薬にも毒にもなる酒、
年末年始を間近に迎え、
適度な飲酒を心掛けたいものです。

参考文献:
『角川新字源 改訂版』 角川書店
『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国医学辞典 基礎篇』 たにぐち書店

参考URL:
『中国の酒と医療-そのルーツを探る-』 上田 香緒里 MAYANAGI’s Laboratory for the History of Medicineより
『新修本草 10巻(存巻4・5・12-15・17-20)』(京都大学附属図書館所蔵)
『(重刊)本草綱目 52巻 (序目・図・巻1-52)』(京都大学附属図書館所蔵)
『薬酒の中医学的考察(1)』 王 元武、赤堀 幸男

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

緑地公園の皇帝ダリア
緑地公園の皇帝ダリア

背丈が2m以上ある皇帝ダリア。
葉と茎が独特なので、
是非観察して見て下さい。

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