この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



11/2(水)
太陽病中篇より

板書

 



(41条)

傷寒、心下有水気、咳而微喘、発熱不渇。
服湯已、渇者、此寒去欲解也、小青竜湯主之。

この条文は、最後の「小青竜湯主之」を
1文目の文末に置き換えると読みやすくなる。
すなわち
傷寒、心下有水気、咳而微喘、発熱不渇、小青竜湯主之。
服湯已、渇者、此寒去欲解也。とする。

さて、小青竜湯は麻黄湯の加減法であるが、
麻黄湯や大青竜湯と違って
肺気の宣発を促す杏仁が除かれている。
これはなぜか?

症状は咳や喘といった肺気の失宣に関わるものがみられるが、
その症状の原因は心下にある水気の停滞である。
すなわち、その水気を取り除くことが必要であり、
水気を取り除かずに肺気の宣発を促してしまうと
水気が肺に入り込み、より肺気を脅かすことになりうる。
そのために杏仁を取り除いていると思われる。

さて、今まで述べてきた「水気」とは何だろうか?
これは、津液とならない水分で、
臓腑や経絡の気を阻害してしまう、水邪となった水分をいうと思われる。
伏飲と言い換えても良いかも知れない。
もともと、津液と関わりの深い臓腑に弱りがある場合、
水分の循環が滞ってしまう場合がある。
胸脇部に滞りやすいともいわれている。
その水分は、正気の気化作用によって津液となるが、
寒邪を受けた場合に正気の働きが阻害されて
水邪、すなわち水気となると思われる。

傷寒がきっかけとなり、心下に水気がある場合、
咳や喘といった症状などがみられ、
この水気を取り除くには
温めながら水の循環を良くすることが必要だろう。
小青竜湯の中の細辛さいしんには
腎陽や脾陽(少陰)の力を高めて
膀胱気化を促す作用があるとされている。
また、白芍びゃくしゃくは津液を補い、水気を取り除いた後の
陰分の不足を助けるねらいがあると思われる。



(42条)

太陽病、外証未解、脈浮弱者、当以汗解、宜桂枝湯。

この条文は、37条以前の麻黄湯を用いた条文に
対応していると思われる。
外証、すなわち病の初期症状が
桂枝湯や麻黄湯を用いてもまだ除かれず、
脈が浮弱の場合は表証がとりきれていないと判断して
汗法を用いるべきである、という内容である。
このとき、これまでの治療によって
正気が損傷されていないかどうかを注意すべきである。
そのため、発汗作用の強い麻黄湯ではなく
桂枝湯を用いた方が良いとしているのだろう。

参加者:下野、新川、大原、盧、


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