下野です。

台風一過の晴天
台風一過の晴天

5月12日に台風が接近しましたが、
幸い大阪では大きな影響もなく過ぎましたね♪
※新幹線や在来線で支障はあったようですが。
その翌日は、まさに台風一過の晴天で、
雲一つない青空でした。

では『薬性の歌』に参ります。


【原文】
枳実味苦、消食除痞、破積化痰、沖牆倒壁。
水漬軟。切片、麩炒。
枳穀微温、快気寬腸、胸中気結、脹満堪嘗。
水漬軟、去穰麩炒。気血弱者、勿与枳殼、以其損気也。
白蔻辛温、能却瘴翳、益気調元、止嘔翻胃。
青皮苦寒、能攻気滞、削堅平肝、安脾下食。
少用熱水浸透、去穰晒乾。
陳皮甘温、順気寬膈、留白和脾、消痰去白。
用温水洗浄。不可用水久泡。則滋味盡去。

<第十に続く>


【解説】
枳実は味苦。
積滞を捌き、胸の痞えを消し、化痰させる。
薬力が強烈なため、「沖牆倒壁の功あり」と言われる。
水に漬して軟らかくし、切片にして麩にて炒る。

枳穀は微温。
気を動かして腸を寛くする。
胸中の気滞の腸満に用いる。
水に漬けて軟らかくし、穰を去ってから麩炒する。気血弱者には枳殼は与えてはいけない。

白蔻は辛温。
邪毒による熱病を却け、
気を益して脾胃を調える。

青皮は苦寒。
破気の働きで、
肝を平したり、食積を捌く。
やや熱した水で浸し、穰を去って晒し乾燥させる。

陳皮は甘温。
気を巡らせて膈を寛くする。
内側の白膜は脾を和し、
痰を消失させるには白膜を去る。
温水を用いて洗浄するように。
水は用いないようにし、
水に漬けたままふやかすと滋味が去る。

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◉枳実

枳実
枳実

ミカン科のダイダイ、イチャンレモン、カラタチなどの幼果。
性味:苦・微寒
帰経:脾・胃・大腸
※為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論: 弁陽明病脈証并治 二百四十七章・二百四十八章
※本多先生による解説はこちら→四逆散 / 腹證奇覧

枳実の原料は、
ご存知の方も多いでしょうが「ダイダイ」になります。
原産はインド(ヒマラヤ)とされ、
日本は勿論のこと、世界各国で栽培されています。

 

◉枳穀

ミカン科のダイダイ、イチャンレモンの成熟果実。
性味・帰経・効能は
枳実と同じあるが、
作用が緩和で理気寛中や
胸腹の気滞による痛みに適す。

 

◉白蔻

ショウガ科のビャクズク属植物で、
その成熟した果実。
性味:辛・温
帰経:肺・脾・胃
効能:
①行気温中:寒湿の気滞による腹満・腹痛に。
方剤例→利膈寛中飲
②化湿消痞:湿温初期の胸の苦しさ・食欲低下・舌苔の濁膩に。
方剤例→三仁湯・黄芩滑石湯
③温胃止嘔:胃寒による嘔吐に。
方剤例→白豆蔻湯
④開胃消食:食積による少食・消化不良に。
⑤二日酔い・嘔吐に
方剤例→葛花解酲湯

 

◉青皮

ミカン科のオオベニミカン、コベニミカン、
又はその同属植物の成熟前の果皮。
性味:苦・辛・温
帰経:肝・胆・脾・胃
効能:
①疎肝破気:
・肝鬱気滞の胸脇部の脹痛・イライラ・憂鬱に。
・気滞血瘀の肝腫・脾腫に。
・肝鬱化火の乳腺炎に。
方剤例→橘葉栝楼散。
・気滞痰凝の乳房の腫塊に。
・寒滞肝脈による疝気の痛みに。
方剤例→天台烏薬散
②消積化滞:食積の腹満や腹痛・腐臭の曖気に。
方剤例→青皮丸

 

◉陳皮

陳皮
陳皮

ミカン科のオオベニミカン、
コベニミカン、
その他同属植物の成熟果皮。
性味:辛・苦・温
帰経:脾・肺
※本多先生による解説はこちら→補中益気湯 / 腹證奇覧

 

 


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野


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