江坂のカフェにて(8月)
江坂のカフェにて(8月)

下積み修行中の大原さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学び成長して参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参りますので
どうか見守り 応援してやって下さい。


修行生の大原です。
皆さん、「消渇(しょうかつ、しょうかち)」という中医学の
病名をご存知でしょうか。
これは、西洋医学でいう「糖尿病」のことです。

糖尿病というと、一般的に、
インスリンというホルモンの
分泌量低下によって、
血糖値が上がってしまうという症状が
すぐ想起されるかも知れません。

ですが、その病理の本質は、
飲食物から得られるはずのエネルギー(糖)が
体内で細胞から吸収されず、
血液を介してエネルギー(糖)が尿中に
出て行ってしまい、
エネルギーを吸収できないことです。
糖尿病を患っている方はやせている場合が多く、
また、動脈硬化や神経障害の発症を
みることもあるそうです。

糖尿病の大半が原因不明で、
遺伝の関与なども指摘されているようです。

では、東洋医学では、糖尿病すなわち
「消渇」をどのようにとらえているのでしょうか。

以下『中医内科学(東洋学術出版社)』から抜粋です。

『霊枢 五変篇』において
五臓が皆弱っている人は、消渇になりやすい
とあり、五臓の虚弱が消渇を引き起こす重要な
要素であることを指摘している。

また、『素問』奇病論篇において
これは食事が豊かすぎることにより誘発された疾患である。
この疾患に罹る者は、大部分が脂っこいもの、
甘いもの、味の濃いものを好んで食べる」とある。

このように、古文書にも、現代と同様の解釈が
記載されていることが分かります。
さらに、歴代の医学者は、この内容を基礎として
本疾患の研究を発展させていったようです。
以下、さらに『中医内科学』から抜粋します。

のどが渇き水をたくさん
飲むのは上消(『内経』では膈消)、

消化が早く、よく空腹を
訴えるものは中消(『内経』では消中)、

のどが渇き尿が増え固形の脂のようなものが
排出されるものは下消(『内経』では腎消)

このように、本疾患を上・中・下の三消に分類するようになった。
しかし、実際の治療においてはこうした境界線を
絶対化するべきではない。その理由は、
三消という区分は成立するが、その病機は一つであり、
いずれもが肺・脾(胃)・腎と密接な関係をもつからである。

三消の弁証について、まとめると以下のようになります。

上消>・・・肺熱津傷
肺熱の亢進によって津液が消耗される。
また、肺の治節機能の失調により、
水分が津液に変化せず下焦に向かい排出される。

中消>・・・胃熱熾盛
胃火が強く水穀を腐熟する力が強いため、
食事量が多くなお空腹感を覚える。
陽明経の熱が強いため、津・血を損傷し、
皮膚・筋肉を栄養できず体がやせ細る。
さらに、胃の津液不足のため、
大腸も潤いを失い、大便が乾燥する。

下消>・・・腎陰虧虚
腎虚により尿を制約できなくなり、頻尿・多尿となる。
腎の固摂機能が失調し、水穀の精微が下焦に
直接流入するため、尿が混濁し甘みを持つ。
虚火によって、のどの乾き、
手足のほてりや心煩などがみられる。

本証が長引くと、陰の損傷が陽にも影響し、
陰陽両虚となることから、腎気が落ち込み、
あらゆる症状がみられる。

このように、東洋医学では、
西洋医学とは異なるアプローチを行っています。

これは、同じ「糖尿病」といっても、
人によって原因や状態が異なるという考え方に
基づいているのだと思います。

東洋医学は経験医学といわれますが、
長い歴史の中で多くの人を診ることで、
積み重ねられていったものだということが
分かりますね。


参考文献:
『基礎中医学』 燎原
『標準 中医内科学』 東洋学術出版社
『病理学概論』 医歯薬出版株式会社

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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