大陥胸湯2

大陥胸湯
大陥胸湯

又、大陥胸湯を用うるの法は、
先ず小陥胸湯を与うること、日々二、三服にして、
夜大陥胸丸一戔を用い、時々大陥胸湯を以って攻むべし。
余證にして胸毒あるものも、また之に倣え。
又、一證。此の図の如く、胸腹より背脊に至るまで其の毒凝結して、
痛み甚だしく手も近づくべからざるものあり。
是れ毒の厚深にして劇しきものなり。
右の法の如く大陥胸丸を以って之を攻むべし。


【組成】

大黄(だいおう)

大黄
大黄

タデ科のダイオウ属植物の根茎や根
性味:苦・寒
帰経:脾・胃・大腸・肝・心包
主な薬効と応用:緩下・駆瘀血
①瀉熱通腸:胃腸の実熱による、
便秘・腹痛・高熱・意識障害などに用いる。
方剤例⇒大承気湯
②清熱瀉火:火熱上亢による、
目の充血・咽喉の腫痛・鼻出血など上部の火熱の症候に用いる。
方剤例⇒三黄瀉心湯
③行瘀破積:血瘀による無月経や腹痛時に用いる。
方剤例⇒復元活血湯
④清火湿熱:湿熱の黄疸時に用いる。
方剤例⇒茵蔯蒿湯

芒硝(ぼうしょう)
天然の含水硫酸ナトリウム
性味:鹹・苦・寒
帰経:胃・大腸・三焦
主な薬効と応用:緩下・利尿
①瀉熱通便:胃腸の実熱、燥屎内結による、
腹満・腹痛・便秘・高熱・意識障害などに用いる。
方剤例⇒大承気湯
②清熱消腫:咽喉のびらんや腫脹、口内炎などに用いる。
方剤例⇒冰硼散

甘遂(かんつい)

甘遂
甘遂

トウダイグサ科のドウダイグサ属植物の根
性味:苦・寒・有毒
帰経:肺・脾・腎
主な薬効と応用:消腫散結・去痰
①瀉水除湿:陽実水腫による、
腹水・浮腫・口渇・尿量減少・便秘などの症候時に用いる。
方剤例⇒舟車丸
②逐痰滌飲:胸部の痰飲積聚(胸水)による、
呼吸困難・胸苦しい・胸肋部痛などに用いる。
方剤例⇒十棗湯
③消腫散結:皮膚の化膿症に用いる。

【主治】
風寒表邪が化熱して裏に入り、
水湿を停滞させ、熱と結びついて現れる、
便秘・口渇・頭汗などの症状がある場合に用いる。
水飲を下し実熱を瀉して胸にある水熱を大便から追い出すのだが、
正気を失わないよう、症状が落ち着けば即時にやめる必要がある。
平素から虚弱の人、病後の者には使用してはならない。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧 正編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004913

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

本多

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