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こんにちは、本多です。

前回に続き
腹證奇覧に記載されております、
大柴胡湯についてです。

前回の記事はこちら↓
大柴胡湯之證①
大柴胡湯之證②


大柴胡湯だいさいことう

大柴胡湯之證
大柴胡湯之證

ノゴトク、胸脇苦満シテスコシク抅攣アリオヨソ抅攣
塊物トコトナリ、指頭ニスコシカヽハリコタユルモノナリ
又腹スコシク實満シテ心下鞕セズ、痞スルバカリナリ
ヨクヨクシテフベシ
ニイフ小柴胡湯
心下痞鞕アリテ實満ナシ
コレヲモツテ分別スベシ

オヨソ傷寒論藥方其意精密ナルモノニシテ
ソノソノ證、自然トソナハリテタガハザルコト
アザムクベカラズルモノナリ
ツヽシンデ、方主證ヲアキラカニシ

君佐意味ヲカンガヘコレヲモチユルトキハ
病治セザルコトナカルベシ
コレ天然自然方法。

三代以上タルコトウタガヒナシ
醫者私智ヲハナレイニシヘノヲモチヒ
ツヽシンデ、其功アルコトヲシルベシ


前回に引き続き大柴胡湯についてです。
傷寒論の165条を基にみていきます。

「傷寒發熱、汗出不解、心中痞鞕、
嘔吐而下利者、大柴胡湯主之。」

「傷寒にかかり発熱して、
汗は出たのにも関わらず病は治癒せず、
心中痞鞕して嘔吐と下痢がある場合は大柴胡湯で治療する。」

条文の「心中」の部分が
腹診でいう心下の部分にあたると思うのですが、
心下よりもさらに深い位置での痞鞕となります。

中焦での気の滞りにより気が巡らず上逆することで嘔吐し、
下ることで下痢が起こることが考えられます。

胸は表から裏へ、裏から表へ通じる部位になることから
邪が半表半裏にあり、
汗法ではその病理に合わないため、
大柴胡湯を用いる必要があります。


大柴胡湯の組成

柴胡さいこ

柴胡
柴胡


セリ科のミシマサイコ、またはその変種の根。

性味:苦・微辛・微寒
帰経:肝・胆・心包・三焦

主な薬効と応用
①透表泄熱:外感表証の表熱に用いる
方剤例→柴葛解肌湯

②疎肝解鬱:肝鬱気滞の憂鬱・イライラ・胸脇部の張痛・月経不順などの症候時に用いる。
方剤例→四逆散

③昇挙陽気:気虚下陥の慢性下痢・脱肛・子宮下垂などに用いる。
方剤例→補中益気湯

備考:昇発の性質を持つので、虚証の気逆不降や陰虚火旺・肝陽上亢・陰虚傷津などに
用いてはならない。



黄芩 おうごん

黄芩
黄芩


シソ科のコガネバナの周皮を除いた根。

内部が充実し、細い円錐形をしたものを条芩、桂芩、尖芩などと称し、
老根で内部が黒く空洞になってものを枯芩、
さらに片条に割れたものを片芩と称する。

性味:苦・寒
帰経:肺・脾 ・大腸・小腸・胆

主な効能と応用:
①清熱燥湿:湿温・暑温初期の湿熱欝阻気機による、
胸苦しい・腹が張る・悪心・嘔吐・尿が濃いなどの症候に用いる。
方剤例⇒黄芩滑石湯

②清熱瀉火・解毒・凉血:肺熱の咳嗽・呼吸促迫・黄痰などの症候時に用いる。
方剤例⇒清肺湯

③清熱安胎:妊娠中の蘊熱による下腹痛などに用いる。
方剤例⇒当帰散

備考:他薬の配合により様々な効用を示す。
柴胡と往来寒熱を除き、白芍と下痢を抑え、桑白皮と肺火を除き、
白朮と安胎に働き、山梔子と胸膈火熱を除き、荊芥・防風と肌表の熱を清解する。



芍薬しゃくやく

芍薬
芍薬

ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し、
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。

性味:苦・酸・微寒
帰経:肝・脾

主な薬効と応用
①補血斂陰:血虚による顔色につやがない・頭のふらつき・めまい・目がかすむ四肢の痺れ
月経不順などの症候に用いる。
方剤例⇒四物湯

②柔肝止痛:肝鬱気滞による胸脇部の張った痛み・憂鬱感・イライラなどの症候時に用いる。
方剤例⇒四逆散

③平肝斂陰:肝陰不足・肝陽上亢によるめまい・ふらつきなどの症状に用いる。
方剤例⇒鎮肝熄風湯

備考:炒用すると補気健脾、生用すると燥湿利水に働く。
ショウガ科のショウガの根茎。



半夏はんげ

半夏
半夏

サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。

性味:辛・温・有毒
帰経:脾・胃

主な薬効と応用:鎮静・鎮咳・去痰
①燥湿化痰:湿痰の咳嗽・多痰・胸苦しさ、或いは痰濁上擾による
眩暈・不眠・悪心などの症候時に用いる。
方剤例⇒二陳湯

②降逆止嘔:胃寒・胃熱・胃虚による嘔吐時に用いる。
方剤例⇒胃寒による嘔吐→小半夏湯
胃熱による嘔吐→黄連橘皮竹筎半夏湯
胃虚による嘔吐→大半夏湯

③消痞散結:痰熱による心窩部の痞えなどに用いる。
方剤例⇒半夏瀉心湯
備考:辛散温燥のため、陰虚の燥咳・傷津の口渇・出血には用いてはならない。



生姜しょうきょう

生薑
生薑

ショウガ科のショウガの根茎。

性味:温・辛
帰経:肺・脾・胃

主な薬効と応用:健胃・発汗・鎮咳
①散寒解表:風寒表証に辛温解表薬の補助として発汗を増強する。
方剤例⇒桂枝湯

②温胃止嘔:胃寒による嘔吐に、単味であるいは半夏などと使用する。
方剤例⇒小半夏湯

③化痰行水:風寒による咳嗽・白色で希薄な痰などの症候時に用いる。
方剤例⇒杏蘇散

備考:傷陰助火するので、陰虚火旺の咳嗽や瘡癰熱毒には禁忌である。



桔実きじつ

桔梗
桔梗

ミカン科のダイダイ、イチャンレモン、カラタチなどの幼果。

性味:苦・微寒
帰経:脾・胃・大腸

主な薬効と応用:
①破気消積:腸胃湿熱積滞による腹痛・便秘あるいは下痢・裏急後重などの症候時に用いる。
方剤例→枳実導滞丸

②化痰消痞:胸脇の痰飲で胸が痞えて苦しい・胸が痞えて苦しい・呼吸困難などを呈する時に用いる。
方剤例→導痰湯

備考:破気に働き正気を消耗するので、体壮邪実に用いる。



大棗たいそう

大棗
大棗

クロウメモドキ科の棗(なつめ)の果実。

性味:温・甘
帰経:脾

主な薬効と応用:鎮静・抗アレルギー
①補脾和胃:脾胃虚弱の倦怠無力・食欲不振・泥状便などの症状に用いる。
方剤例⇒六君子湯

②養営安神:営血不足による不眠・不安感などに用いる。
方剤例⇒甘麦大棗湯

③緩和薬性:薬力が強力な薬物に配合し、性質を緩和し脾胃の損傷を防止する。
方剤例⇒十棗湯

備考:湿盛の脘腹脹満・食積・虫積・齲歯・痰熱咳嗽などには禁忌となる。



大黄だいおう

大黄
大黄

タデ科のダイオウ属植物の根茎や根。

性味:苦・寒
帰経:脾・胃・大腸・肝・心包

主な薬効と応用:緩下・駆瘀血
①瀉熱通腸:胃腸の実熱による、
便秘・腹痛・高熱・意識障害などに用いる。
方剤例⇒大承気湯

②清熱瀉火:火熱上亢による、
目の充血・咽喉の腫痛・鼻出血など上部の火熱の症候に用いる。
方剤例⇒三黄瀉心湯

③行瘀破積:血瘀による無月経や腹痛時に用いる。
方剤例⇒復元活血湯

④清火湿熱:湿熱の黄疸時に用いる。
方剤例⇒茵蔯蒿湯

備考:生用すると瀉下の働きが強くなり、
酒を吹きかけ火で焙ると上部の火熱を清し活血化瘀の働きが強くなり、
酒とともに蒸すと瀉下の力が緩やかになり、
炒炭すると化瘀止血に働く。


参考文献:

『漢方概論』 創元社
『腹證奇覽』 盛文堂
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『傷寒雑病論』
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版
『症状による中医診断と治療』 燎原
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

本多

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