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4月初の夕方に撮影(近所にて)
4月初の夕方に撮影(近所にて)

こんにちは、大原です。
前回(血(けつ)の化生 その1)の続きです。

学校の新しい教科書『新版 東洋医学概論』
に掲載されている「血の化生」についての内容から、
その大元となる古典の記述をみていきます。

(ちなみに下線部が教科書に掲載されている箇所です。
分かりやすく、その前後の内容も記しています。)

『霊枢』決気篇(第三十)から

黄帝曰、余聞人有精氣津液血脈、余意以為一気耳。
(黄帝曰く、余 人に精・氣・津・液・血・脈ありと聞くも、余 意に以為おもえらく一気のみと。)

今乃弁為六名。余不知其所以然。
(今 乃ち弁ちて六名と成す。余 其の然るゆえんを知らず。)

・・(略)・・

何謂血。(何をか血という)
岐伯曰、中焦受氣取汁、變化而赤、是謂血。
(岐伯曰く、中焦氣を受け汁を取り、変化して赤きを、是れ血と謂う。)
→(飲食物は)中焦で氣を受け、その水分が変化して赤くなったものを血といいます。

少し解説していきますと、
ここでは血の定義について述べられています。
割愛しますが、血以外の、人体を構成する要素である
精・氣・津・液・脈についても、それぞれの定義が前後に記されています。
これらを合わせて六気と称し、
この後の記述で、
これら六気が多すぎたり少なすぎたりした場合に、
人体はどのようになるかが述べられていきます。

ではその記述の、血に関する部分を抜粋してみます。

黄帝曰、六気者、有余不足。(黄帝曰く、六気なる者に、有余不足あり。)
・・(略)・・
血脱者、色白、夭然不沢、其脈空虚。(血 脱する者、色白く、夭然ようぜんとしてうるおわず、その脈空虚たり。)
→血が大量に消耗すると、顔色が白く、やせ細って元気がなく、脈も空虚になります。

さらにこの後、
この決氣篇のまとめ的な内容になります。
ついでにみていきましょう。

黄帝曰、六気者、貴賤如何。(黄帝曰く、六気なる者、貴賤いかん。)
岐伯曰、六気者、各有部主也。(岐伯曰く、六気なる者に、各おの部主あるなり。)
其貴賤善悪、可成常主。(その貴賤善悪、常の主と成るべし。)
然五穀与胃為大海也。(然りて五穀と胃とは大海と為すなり。)

→六気は、人体の中で重要さの順番はどのようになっているのか?
六気はそれぞれ身体の部位ごとに主られています。
その重要さの順番・区別は、常に主(主る部位)が成すことになります。(※1→後述)
そのようにして、飲食物と胃は大海を成します。(※2→後述)

途中、解釈がやや難しい部分もあります。
自分なりに解釈してみます。

(※1)
言い換えると「主る部位が、六気のどれが重要かを決める」
ということだと思います。
(「血」でしたら、例えば五臓の肝が、
臥しているときには血を蔵し、物を見るときには血を目にやります。
ですが、昇発・条達といった、気をめぐらせる特性が肝にはあり、
この働きを行う場合は血よりも気がより重要になる
ということだと思います。)


(※2)
「大海」=「六気の絶えない供給源」

というような意味にそれぞれなると思います。

※このあたりの解釈は
現在の自分の感覚的なものですので、
解説本の内容と異なっている部分もあると思いますが
御了承ください。

 


 

参考文献:
『新版 東洋医学概論』 医道の日本社
『黄帝内経 霊枢』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 燎原

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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