この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。


太陽病上篇より

7/27(水)

板書

24条

条文の意味としては、
太陽病の中風証に対して、
桂枝湯を与えたが「煩」という症状が出て
表邪が解さない場合に、
まず風池・風府穴を刺し、
その後桂枝湯を与えると癒えるということである。

論点として、
①「反煩」とはどういう意味か、なぜ「反煩」がおこるのか?
②なぜ「風府」、「風池」を刺入するのか?

①「煩」とは、胸中に熱邪が鬱滞することなどによって
もやもやしたりイライラしたりする自覚症状をいう。
表邪が桂枝湯によって外泄されようとしているが
外泄しきれないことによるものではないだろうか。
逆に考えると
太陽中風証は風邪が入りこみ衛気を損傷させるものであるが、
その風邪がやや強く入り混んでいる場合を述べているのではないか。

②桂枝湯で治癒するはずの表証では
風邪が体表にあり衛気の弱りがあるとされているが、
この条文の場合、風邪は
もっと奧(裏)に入り混んでいると推察される。

ここで、風府、風池穴の名称には、
風が集まる、溜まるという意味があるようである。
また、経脈との関連も考慮すると、
風府穴は督脈上であり督脈は陽経を統括し、
風池穴は胆経上であるが、陽維脈や陽蹻脈上の経穴でもあり
陽邪との関連が強い。

さらに、1条の「頭項強痛」ということからも
風府や風池穴あたりは風邪によって
経気が滞りやすい場所であるといえる。
逆にいうと、他の経穴を用いて、
風府や風池穴あたりの経気が正常になれば
治癒できるともいえるのではないか。

まとめると
この条文で鍼による治療内容について述べられているが、
おそらく風邪が体表だけでなく経脈まで入り混んでいることから
刺法に治法を求めるのが良いとしているのではないだろうか。

・脳血管障害の「中風」について、
やはり風府や風池といった頚〜頭にかけての経気が
滞ることで起こりやすいと思う。
以前、カゼを患った後に脳血管障害「中風」を
患った方もおられた。
太陽病の「中風」証と同じ「中風」という名称で
区別するべきであるが、
関連もあると思われる。

参加者:下野、新川、本多、大原、小堀


<原文>
24条
太陽病、初服桂枝湯、反煩不解者、先刺風池、風府、却与桂枝湯則愈。

 

 

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