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下野です。
5月に入り今年の西日本は
例年より晴天が少ないとの予想ですが
どうなるのでしょうか。
梅雨までの期間は、
出来るだけ晴れていてほしいものです。

では『薬性の歌』に参ります。


【原文】
薯蕷甘温、理脾止瀉、益腎補中、諸虛何怕。
蓯蓉味甘、峻補精血、若驟用之、反動便滑。
兎絲甘平、夢遺滑精、腰疼膝冷、添髓強筋。
牛膝味苦、除湿痺痿、腰膝酸痛、益陰補髓。
杜仲辛温、強筋壮骨、足痛腰疼、小便淋瀝。

<第三十九に続く>


【解説】
薯蕷は甘温。
脾を理めて瀉を止める。
益腎して中気を補う。
諸虛何を恐れん。

蓯蓉は味甘。
精血を峻補して、
もし之を用いるならば
便が滑らかに出る。

兎絲は甘平。
夢精、滑精、腰疼き、膝冷えるに。
髄を添えて、筋を強くする。

牛膝は味苦。
湿痺痿を除き、腰膝の酸痛に。
陰を益して、髄を補う。

杜仲は辛温。
筋を強くして骨を壮んにする。
腎陽を興して、固精する。
塩酒にて炒って用いる。

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山薬さんやく (薯蕷)じよよ

ヤマノイモ科ナガイモの外皮を去った根茎。
性味:甘・平
帰経:脾・肺・腎
効能:
①補脾止瀉
・脾虚の食欲不振や元気がない、泥状便、水様便等に。
方剤例 → 参苓白朮散・啓脾湯。

②養陰扶脾
・脾陰虚の食欲不振や食後の脹腹、口の乾き等に。
方剤例 → 一味薯蕷飲・珠玉二宝粥・慎柔養真湯・玉液湯・資生湯。

③養肺益陰・止咳
・肺虚の慢性咳嗽や呼吸困難に。

④補腎固精・縮尿・止帯
・腎虚の遺精に。
方剤例 → 六味地黄丸・八味地黄丸・知柏地黄丸・左帰飲・右帰飲。
・腎虚の頻尿に。
方剤例 → 縮泉丸。
・腎虚の白色帯下に。
方剤例 → 秘元煎。

肉蓯蓉にくじゅよう

ハマウツボ科ホンオニクの肉質茎。
性味:甘・鹹・温
帰経:腎・大腸
効能:
①補腎陽・益精血
・腎陽虚のインポテンツや勃起不全、早漏等に。
方剤例 → 肉蓯蓉丸。
・腎虚の風寒湿痺の腰膝の冷痛、筋肉に力がない等に。
方剤例 → 金剛丸。

②潤腸通便
・老人や虚弱体質者の腸燥便秘に。
方剤例 → 蓯蓉潤腸丸。

菟絲子としし (兎絲)とし

ヒルガオ科のマメダオシやネナシカズラ等の成熟した種子。
性味:辛・甘・微温
帰経:肝・腎・脾
効能:
①補腎陽・益精・固精・縮尿
・腎虚のインポテンツや勃起不全、早漏、精液尿に。
方剤例 → 五子衍宗丸・茯菟丸。
・腎陽虚の頻尿や尿失禁に。
方剤例 → 菟絲子丸。

②養肝明目
・肝腎不足の視力低下や眩暈、目がかすむ等に。
方剤例 → 駐景丸。

③補脾止瀉
・脾虚の泥状や水様便に。

④その他
・腎虚による妊娠中の性器出血や下腹部痛に。
方剤例 → 寿胎飲。

牛膝ごしつ

ヒユ科イノコズチ属ヒナタイノコズチ、又はトウイノコズチの根。
性味:苦・酸・平
帰経:肝・腎
効能:
①活血祛瘀
・血瘀の月経痛や月経周期の延長、無月経、難産など。
方剤例 → 牛膝散・脱花煎。
・打撲外傷の腫れや痛みに。

②舒筋利痺
・湿熱蘊結の下肢の痛みや痺れ、熱感、腫れに。
方剤例 → 三妙丸・四妙丸・疎経活血湯。
・寒湿痺の関節痛や冷えに。
方剤例 → 大防風湯・三痺湯・独活寄生湯。

③補肝腎・強筋骨
・肝腎不足の膝腰の怠さや痛みに。
方剤例 → 虎潜丸。

④利水通淋
・湿熱下注の排尿痛や排尿困難、血尿等に。
方剤例 → 牛膝湯。

⑤引血下行
・血熱の鼻血や吐血、喀血に。
・陰虚火旺の歯茎の痛みや腫れ、口内炎等に。
方剤例 → 玉女煎。
・肝陽上亢の頭痛や眩暈等に。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。

杜仲とちゅう

トチュウ科トチュウの樹皮。
性味:甘・温
帰経:肝・腎
効能:
①補肝腎・強筋骨
・肝腎不足の腰膝の無力や痛みに。
方剤例 → 青娥丸・金剛丸。
・腎陽虚のインポテンツや勃起不全、頻尿に。
方剤例 → 十補丸。

②固経安胎
・肝腎不足の不正性器出血や習慣性の流産、妊娠中の性器出血に。
方剤例 → 杜仲丸。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

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是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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