こんにちは、本多です。

目をこらせば
目をこらせば

エキスポシティでの一枚です♪


さて、
今回は腹證奇覧に掲載しております、
茯苓杏仁甘草湯についてです。

茯苓杏仁甘草湯

茯苓杏仁甘草湯
茯苓杏仁甘草湯

図の如く、
胸中塞がり、ダクダクと躍り、息急しく、甚だしきは、
山の径をよじ登りたる如く、肩息喘き、或は胸痛のものを治す。
證に曰く、
「胸痺(胸痺の解は二編・人参湯に出づ)胸中気塞、
短気するは、茯苓杏仁甘草湯之を主る。
橘皮枳実生姜湯は千金論に云う、
「胸痺し、胸中愊々として満の如く、噎塞し習々として癢の如く、
喉中・渋燥し、沫を唾するを治す」と。
胸いっぱいになり、食するごとに咽につまり、
常にモヤモヤと癢きがごとく、喉中しぶり燥きて沫を唾くものなり。
橘皮は胸中の気満を解し、枳実は痞を破り痰を退ぞけ、
生姜は胃中を開くに冷をあたたむ。
是れ、此の方の意なり。茯苓杏仁甘草湯は、
喘急に効あり・其の證、心下・胸中悸するを以て眼目とす。
橘皮枳実生姜湯は、胸腹偏痛して、嘔逆するものを治す。」と。
又、曰く、
「茯苓杏仁甘草湯は、酒客の病に間此の證あり」と。


【茯苓杏仁甘草湯:組成】

茯苓(ぶくりょう)

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。

性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃

主な薬効と応用
①利水滲湿:水湿停滞による尿量減少・浮腫などに用いる。
方剤例⇒四苓散

②健脾補中:脾虚の食欲不振・元気がない・腹鳴・腹満、
泥状便や水様便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯

③寧心安神:心神不寧の不眠・不安感・驚きやすい・心悸などの症候に用いる。
方剤例⇒帰脾湯

備考:性質が緩やかであるところから補助薬として用いることが多い。



杏仁(きょうにん)

杏仁
杏仁

バラ科のホンアンズ、アンズなどの種子。

性味:苦・辛・温・小毒
帰経:肺・大腸

主な薬効と応用:
①止咳平喘:外感や痰濁など実邪による咳嗽・呼吸困難時に用いる。
方剤例⇒杏蘇散

②潤腸通便:老人や産後の血虚による腸燥便秘に用いる。
方剤例⇒桑杏湯

備考:陰虚咳嗽時には用いてはならない。



甘草(かんぞう)

甘草
甘草

マメ科のウラル甘草の根。

性味:平・甘
帰経:脾・肺・胃

主な薬効と応用
①補中益気:脾胃虚弱で元気がない・無力感、
食欲不振・泥状便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯

②潤肺・祛痰止咳:風寒の咳嗽時に用いる。
方剤例⇒三拗湯

③緩急止痛:腹痛・四肢の痙攣時などに用いる。
方剤例⇒芍薬甘草湯

④清熱解毒:咽喉の腫脹や疼痛などに用いる。
方剤例⇒甘草湯

⑤調和薬性:性質の異なる薬物を調和させたり、偏性や毒性を軽減させる。

備考:生用すると涼性で清熱解毒に、密炙すると温性で補中益気に働く。


【茯苓杏仁甘草湯:効能】
肺気虚などで生じた
上焦の水滞からおこる
胸痺を取る効能がある。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『漢方概論』 創元社
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧 正編2巻・後編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004914

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多

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