今回は滑脈と渋脈についてです。

滑脈

コロコロとした玉がお盆の上を転がるような
円滑感のある脈と表現され、指に力を加えると
拍動をあまり感じられなくなります。
主病は痰飲内盛・飲食停滞
食物が災いしておこるものが多くなります。
他に実熱により体内で邪が盛んになることからも
起こり、熱証では血流が早くなるために
数も一緒に起こるので滑数となります。
妊娠した婦人にも表われることがあり
この場合も滑数となります。
類似した脈としては数脈がありますが、
数脈はただ脈拍の回数が増加するだけなので
混同しない様に注意する必要があります。
柔らかくゆったりとした滑脈は正常と捉えます。

渋脈

別名を濇脈(しょくみゃく)ともいいます。
小刀で竹をこそぐような滑らかではない脈で、
力を加えたときに指先に引っかかる、
一つの脈のリズムが大小不揃いでない脈と
表現されます。
主病は精血不足で気が血を正常に運搬することができずに
血行の流れが緩慢になることで起こります。
他では寒湿の邪が衛分から営分、
または営分に直接侵入することで
血行が阻滞されても渋脈となります。
円滑感のある滑脈と相対した脈となり、
類似した脈としては微脈がありますが、
微脈との違いは按じた時の指に感じる
拍動の強さが違います。
滑微共に気血の不足からなり、
微脈の方がより弱くなります。


参考文献:
『中医脉学と瀕湖脉学』  たにぐち書店
『東洋医学講座 第九巻 診断編』  自然社
『中医臨床のための舌診と脈診』  神戸中医学研究会
本多

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