こんにちは、本多です。

方丈庭園(南禅寺)
方丈庭園(南禅寺)

上の写真は先日、
『方丈庭園』という
京都にあります南禅寺の庭園をiPhoneで撮影した時のものです。

写真には写りきっていないのですが、
砂利の部分がもっと広く、
長方形の庭の一角に石や木々が集まっていて
バランスが悪いなぁと感じたのですが、
少し調べてみると、
「禅の悟りへの道」を表しているのだとか。

ゴチャゴチャと入り組んだ場所や物から、
不必要なものを取り除いた先に
本当に必要なものだけが残るということを
あらわしているのだろうかと思っています(^_^;)


それでは、
今回は腹證奇覧に掲載しております、
黄芩湯についてです。

黄芩湯

黄芩湯
黄芩湯

図の如く、
心下痞して、腹拘急して下利するものは、熱瀉なり。
黄芩湯の證とす。其の熱を候うもの、之を口舌に於てす。
乃ち、咽乾き、口苦きもの、是れなり。
天行痢赤白、裡急、腹痛、発熱、脈数なるもの、此の方を用うべし。
若しくは、心下痞硬、甚だしく、口舌乾燥胎を生じ、
裡急窘迫、脈滑なるものは、大承気湯の證なり。


【黄芩湯:組成】

黄芩(おうごん)

黄芩
黄芩

シソ科のコガネバナの周皮を除いた根。
内部が充実し、細い円錐形をしたものを条芩、桂芩、尖芩などと称し、
老根で内部が黒く空洞になってものを枯芩、
さらに片条に割れたものを片芩と称する。

性味:苦・寒
帰経:肺・脾 ・大腸・小腸・胆

主な効能と応用:
①清熱燥湿:湿温・暑温初期の湿熱欝阻気機による、
胸苦しい・腹が張る・悪心・嘔吐・尿が濃いなどの症候に用いる。
方剤例⇒黄芩滑石湯

②清熱瀉火・解毒・凉血:肺熱の咳嗽・呼吸促迫・黄痰などの症候時に用いる。
方剤例⇒清肺湯

③清熱安胎:妊娠中の蘊熱による下腹痛などに用いる。
方剤例⇒当帰散

備考:他薬の配合により様々な効用を示す。
柴胡と往来寒熱を除き、白芍と下痢を抑え、桑白皮と肺火を除き、
白朮と安胎に働き、山梔子と胸膈火熱を除き、荊芥・防風と肌表の熱を清解する。



白芍(びゃくしゃく)

芍薬
芍薬

ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し、
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。

性味:苦・酸・微寒
帰経:肝・脾

主な薬効と応用
①補血斂陰:血虚による顔色につやがない・頭のふらつき、
めまい・目がかすむ四肢の痺れ・月経不順などの症候に用いる。
方剤例⇒四物湯

②柔肝止痛:肝鬱気滞による胸脇部の張った痛み、
憂鬱感・イライラなどの症候時に用いる。
方剤例⇒四逆散

③平肝斂陰:肝陰不足・肝陽上亢によるめまい・ふらつきなどの症状に用いる。
方剤例⇒鎮肝熄風湯

備考:炒用すると補気健脾、生用すると燥湿利水に働く。



炙甘草(しゃかんぞう)

甘草
甘草

マメ科のウラル甘草の根。

性味:平・甘
帰経:脾・肺・胃

主な薬効と応用
①補中益気:脾胃虚弱で元気がない、
無力感・食欲不振・泥状便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯

②潤肺・祛痰止咳:風寒の咳嗽時に用いる。
方剤例⇒三拗湯

③緩急止痛:腹痛・四肢の痙攣時などに用いる。
方剤例⇒芍薬甘草湯

④清熱解毒:咽喉の腫脹や疼痛などに用いる。
方剤例⇒甘草湯

⑤調和薬性:性質の異なる薬物を調和させたり、偏性や毒性を軽減させる。

備考:生用すると涼性で清熱解毒に、密炙すると温性で補中益気に働く。



大棗(たいそう)

大棗
大棗

クロウメモドキ科の棗(なつめ)の果実。

性味:温・甘
帰経:脾

主な薬効と応用:鎮静・抗アレルギー
①補脾和胃:脾胃虚弱の倦怠無力・食欲不振・泥状便などの症状に用いる。
方剤例⇒六君子湯

②養営安神:営血不足による不眠・不安感などに用いる。
方剤例⇒甘麦大棗湯

③緩和薬性:薬力が強力な薬物に配合し、性質を緩和し脾胃の損傷を防止する。
方剤例⇒十棗湯

備考:湿盛の脘腹脹満・食積・虫積・齲歯・痰熱咳嗽などには禁忌となる。


【黄芩湯:効能】

傷寒論には以下のような記載があります。

「太陽與少陽合病、自下利者、與黄芩湯」

「太陽少陽との合病、自下利するものは、黄芩湯。」

太陽と少陽の合病とは
太陽と少陽の二経が同時に邪を受けて
通常は太陽の表証と少陽の半表半裏証が同時に現れます。

太陽病の部位は小腸にあるようで
邪熱が下行して陽明大腸経に迫ると下痢を生じることになります。
この場合、熱を伴った熱痢なので、
腹痛・裏急後重・肛門の灼熱感などを伴い、
さらに邪熱が胃を犯すことで嘔逆が現れます。

太陽と少陽の合病なので、
発汗法を用いると津液を傷つけ化燥させる恐れがあり、
瀉下法を用いると邪を内陥させる恐れがあるので
汗法・下法どちらの治法も使用できません。

そこで黄芩湯を用いることで少陽の熱邪を清泄し
下痢を止めることができます。

以上のことから黄芩湯は
熱迫下痢に対して清熱止痢の効能があるといえます。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『漢方概論』 創元社
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『傷寒雑病論』
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧 正編2巻・後編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004914

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多

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