若葉
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張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁陽明病脈証并治 百八十三章と百八十四章。
百八十三章では陽明経が初めて外邪に受けた場合について。
百八十四章では百八十三章を受け、悪寒が自然に治っていく原因について詳しく述べております。


百八十三章

問曰、病有得之一日、不發熱而惡寒者、何也。
答曰、雖得之一日、惡寒將自罷、卽自汗出而惡熱也。

和訓:
問いて曰く、病之を得て一日、発熱せずして悪寒するものあり、何ぞやと。
答えて曰く、之を得て一日と雖も、悪寒将に自ら罷まんとし、
即ち自汗出でて悪熱するなりと。


問曰、病有得之一日、不發熱而惡寒者、何也
陽明病にかかって一日目、発熱せず悪寒するのはどういう理由によるものか?

答曰、雖得之一日、惡寒將自罷、卽自汗出而惡熱也
陽明病は経証と腑証に分類ができる。
外邪が初めて陽明を犯せば、経気は一時的に抑え止められ
そして軽微で短時間ではあるが、悪寒が発生する。
しかし速く熱盛になるので、その後悪寒は消失する。
裏に熱があり、その熱気が内蒸したことにより汗出し、
発熱する陽明病外症を呈するのである。

提要:
陽明経が初めて外邪に受けた場合について。

訳:
問い。陽明病第一病日に、発熱することなく
かえって悪寒する場合があるが、これはどうしてでしょうか?
答え。第一病日にはそうであっても、悪寒は自然に去り、
すぐに自汗が出て悪熱するようになるものだ。


百八十四章

問曰、惡寒何故自罷。
答曰、陽明居中、主土也。萬物所歸、無所復傳。
始雖惡寒、二日自止、此爲陽明病也。

和訓:
問いて曰く、悪寒何の故に自ら罷むかと。
答えて曰く、陽明中に居し、土に主るなり。万物の帰する所、復た伝わる所なし。
始め悪寒すと雖も、二日にして自ら止み、此れ陽明病と為すなりと。


問曰、惡寒何故自罷
陽明病の熱型は悪寒せず発熱する。
邪を受けた初期には悪寒が起こるが、
迅速な熱化に従って、自然に治っていく。
これは何故か?

答曰、陽明居中、主土也。萬物所歸、無所復傳。始雖惡寒、二日自止、此爲陽明病也
土は万物が帰一するところである。
陽明は燥を本気とし、胃は倉廩の官で中央にあり、水穀を受納、腐熟させている。
有形の物である便を作ることが、陽明とその他の各経とを分かつ唯一の特点である。
もし燥気が旺盛になれば、便は伝導されず中に留まる。
そしてこのとき寒邪を受ければ、
邪は迅速に経を巡り、裏に内伝して胃と便を凝聚させ、
熱燥と化し陽明病にしてしまう。
従って「始雖惡寒、二日自止」というのは、
これは邪が燥化するのに従って土に帰一し、
他に内伝するところがなくなったことを反映したものなのである。

提要:
前章を受け、悪寒が自然に治っていく原因について。

訳:
問い。悪寒はなぜ自然に消失するのか。
答え。陽明は中央に位置し、土を去り、万物は土に帰すので
さらにどこかへ伝わることはない。
病初に悪寒があっても、第二病日には自然に消失し、
これが陽明病に特徴的な悪寒自罷の病理である。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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