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こんにちは、大原です。
前回は、膀胱についてでした。
(前回:霊枢「邪気臓腑病形篇(第4)」より六腑の病④
今回は胆についてです。

原文読み
病者、善大息、口苦、嘔宿汁。
(胆を病む者は、よく太息たいそくし、口苦く、縮汁を嘔す。)

心下澹澹恐人将捕之。
(心下澹澹たんたんとして人のまさにこれを捕らえんとするを恐る。)

嗌中吤吤然數唾。
(嗌中吤吤かいかい然としてしばしばつばす。)

在足少陽之本末。亦視其脉陥下者。灸之。
(足の少陽の本末に在り。またその脈の陥下なる者を視る。これには灸すべし。)

其寒熱者取陽陵泉。
(その寒熱する者は陽陵泉に取る。)

<語句の意味>
太息たん息(ため息)
縮汁:長くためてあった汁の意味で、「宿」は「縮」に通じ、濃い汁をいう。
澹澹たんたん:表面的には静かにおさまっているように見えるが、
ちょっとの刺激によって波立つ、つまり一応はおさまってはいるものの、
内心ビクビクすることのあること。
吤吤かいかい然として:物が口中にはさまり、ひっかかっている感じをいう。

<全体の意味>
胆の病の症状は、歎息の大きな息をしたり、
口の中が苦く、また縮汁を嘔出したりいたします。
また、心中一応は落ち着いているものの、
他人に捕らえられるのではないかというような
不安の気持ちがしたり、
嗌中に何かがひっかかっているような状態で
しばしば唾を出すようなものであります。
このような症状のある病人に対しては、
足の少陽胆経の本末にわたり、その流注上に取穴してみることが必要であり、
もしまたその脈の陥下なるものに対しては、これを灸するのであります。
またその寒熱往来の現象のあるものに対しては、
本経の合穴、陽陵泉を取って刺鍼いたします」と。
(『鍼灸医学大系⑭ 黄帝内経霊枢 第1〜第4』P.511〜 より抜粋)

胆が弱ると
「他人に捕らえられるのではないかというような
不安の気持ち」が現れるとあります。
これは、胆は「決断を主る」という働きが
あることから、胆の弱りから
精神的に不安感につながるということでしょう。
(「胆は中正の官、決断出づ」(『素問』霊闌秘典論篇)より)

また、
口苦く、縮汁を嘔す。
とは、西洋医学における「胆汁」が
口に上がってきている状態と解釈されます。
(『経脈篇』でも、胆の病には口苦があります。)
これは、東洋医学の胆の腑は、
西洋医学的な胆の腑と同じものを指しているという
ことから解釈されます。

ちなみに
「胆」ではなく「胆の腑」と書きましたが、
上述の精神面の話からもいえることですが、
東洋医学の「胆」は
西洋医学の胆嚢よりももっと広い範囲を指しますね。

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■参考文献
『鍼灸医学大系⑭ 黄帝内経霊枢 第1〜第4』 雄渾社
『基礎中医学』燎原
『CASIO EX-word DATAPLUS7』(電子辞書)

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