こんにちは下野です。

先日、久しぶりに梅田の紀伊国屋へ行ったのですが、
一角に「電子書籍コーナー」なるものが設置されておりました。
SONYの電子書籍Readerを使用し,電子書籍を体験できるというもので、
実際、端末の販売も行われていました。
iPadやスマートフォン等の普及で紙の本の未来について
議論されているみたいですが、
僕自身としては紙の本の方が好きですね。
残りページ数を見ながら想像力を膨らませたり、
空間の一部(インテリア)としても紙媒体は使えるからです。

一節によれば、30年近くは紙と電子書籍は
平衡を保って行くのではと言われているようですが
どうなるのでしょうか。

では、ここからは『難経』第十五難②についてです。


<原文>
如有変奈何。

然。
春脈弦、反者為病。

何謂反。

然。
其気来実強、是謂太過、病在外、気来虚微、是謂不及、病在内。
気来厭厭聶聶、如循楡葉曰平、益実而滑、如循長竿曰病、
急而勁益強、如新張弓弦曰平、弦多胃気少曰病、但弦無胃気曰死、
春以胃気為本。

夏脈鈎、反者為病。

何謂反。

然。
其気来実強、是謂太過、病在外、気来虚微、是謂不及、病在内。
脈来累累如環、如循琅玕、曰平、来而益数、如鶏挙足者曰病、
前曲後居、如操帯鈎曰死。
夏脈微鈎曰平、鈎多胃気少曰病、但鈎無胃気曰死、夏以胃気為本。

秋脈毛、反者為病。

何謂反。

然。
其気来実強、是謂太過、病在外、気来虚微、是謂不及、病在内。
其脈来藹藹如車蓋、按之益大曰平、不上不下、如循鶏羽曰病、
按之蕭索、如風吹毛曰死。
秋脈微毛曰平、毛多胃気少曰病、但毛無胃気曰死、秋以胃気為本。

冬脈石、反者為病。

何謂反。

然。
其気来実強、是謂太過、病在外、気来虚微、是謂不及、病在内。
脈来上大下兌、濡滑如雀之喙曰平、啄啄連属、其中微曲曰病、
来如解索、去如弾石曰死。
冬脈微石曰平、石多胃気少曰病、但石無胃気曰死、冬以胃気為本。
胃者、水穀之海、主禀、四時皆以胃気為本、是謂四時之変病、死生之要会也、
脾者、中州也、其平和不可得見、衰乃見耳、来如雀之啄、
如水之下漏、是脾衰見也。


<現代語訳>
四季の脈に異常が現れると、どの様な現象が起こるのか。

答え。
春の脈は弦脈であり、これに反するものは病脈である。

では、どのような脈が反するものと言うのか。

答え。
脈の来かたが実していて強いのは太過で、病が外にあるとし、
脈の来かたが虚していて微かなのは不及で、病が内にあるとする。
脈の来かたが波動を帯び、楡の木の葉をなでるかのようなものは平脈であり、
脈の来かたが堅く実してかつ滑で、長い竹竿をなでているようなものは病脈である。
急で強く、弓に新しく張った弦のような脈は死脈である。
春の脈は微・弦脈が平脈で、弦脈が強く胃気の少ないのは病脈、
弦脈のみで胃気のないものは死脈となる。
何故なら、春は胃気が基本となるからである。

夏の脈は鈎脈であり、この脈に反するものは病脈である。

どのような脈を反するものと言うのか。

答え。
脈の来かたが実していて強いのは太過で、病が外にあるとし、
脈の来かたが虚していて微かなのは不及で、病が内にあるとする。
脈が来るとき、並んだ玉環をなでいてるようで、
また美しい珠玉のように丸くなめらかなものは平脈である。
脈の来かたがすばやく、鶏が足を挙げて歩く様子に似ているものは病脈である。
前が曲がって後ろがまっすぐで、革帯の鈎を持つかのごとき脈は死脈である。
夏の脈は微・鈎脈が平脈で、鈎脈が強く胃気の少ないのは病脈、
鈎脈のみで胃気のないものは死脈となる。
何故なら、夏も胃気が基本となるからである。

秋の脈は毛脈であり、この脈に反するものは病脈である。

どんな脈を反するものと言うのか。

答え。
脈の来かたが実していて強いのは太過で、病が外にあるとし、
脈の来かたが虚していて微かなのは不及で、病が内にあるとする。
脈の来かたが車を覆う傘のようで、これを按ずるとさらに脈が大きくなるものは平脈である。
上がらず下がらず鶏毛をなでるかのような脈は病脈である。
おさえて取ると、風に吹かれる毛のようにたよりなく浮いている脈は死脈である。
秋の脈は微・毛脈が平脈で、毛脈が強く胃気の少ないのは病脈、
毛脈のみで胃気のないものは死脈となる。
何故なら、秋も胃気が基本となるからである。

冬の脈は石脈であり、この脈に反するものは病脈である。

どんな脈を反するものと言うのか。

答え。
脈の来かたが実していて強いのは太過で、病が外にあるとし、
脈の来かたが虚していて微かなのは不及で、病が内にあるとする。
脈の来かたが来る時大きく、去る時小さく濡・滑で雀のくちばしの様で
あるものは平脈である。
脈の来かたが、鳥が餌をついばむように連続して止まず、
微かで曲がっているものは病脈である。
脈の来かたが、よりの解けた繩のようで、
脈が去る時は弓ではじいた石のようにすばやく堅いのは死脈である。
冬の脈は微・石脈が平脈で、石脈が強く胃気の少ないのは病脈、
石脈のみで胃気のないものは死脈となる。
何故なら、秋も胃気が基本となるからである。
胃は飲食物のあつまる海であり、四季の脈の搏動を供給する根本である。
春夏秋冬の脈はいずれも胃気を根本としており、
胃気の有無は四季の脈象の病変と、その予後の良し悪しのかなめである。
脾は中州を主っており、脈象は平脈で和んでいるときには見る事が出来ないが、
脾が衰えた時には雀が餌をついばみ、水が下に漏れる様な脈が現れる。
これは脾が衰えたことを反映する脈象である。


<解説>
本節では四時の平脈、病脈、死脈を論述している。
その中で重要となるのは胃気の有無と胃気の多少となり、
平脈では胃気は充ちて盛んとなり、
病脈では胃気が減少
死脈では胃気がない状態を指す。
つまり胃は水穀の海であり、四時の脈は胃気を正常に得る事で
はじめて健康な脈象を示す
ことになる。

また脾は「中州を主る」臓であり、
四時及び各臓の脈象の中に反映されている。
平脈の場合は独自の脈を診る事は出来ないが、
衰えると四臓と離れるため、その脈象が表れてくる。
雀は鋭く疾いことから偏陽を、
水が漏れるとは衰え遅く消え去ろうということから偏陰を表すと
考えられており、共に死に結びつくとされている。


<参考文献>
『難経解説』 東洋学術出版社
『難経鉄鑑』 たにぐち書店

2 コメント

  1. 使用したことないですが電子書籍は目に悪そうです。
    本体が壊れたらどうしようもない。
    でも劣化しない、スペースをとらないという利点はあります。
    うろおぼえで、字が大きくできるので目の悪い方に便利だと聞いたのですが どうなんでしょうね。

    子供の高校入学時に電子辞書が販売されておりそのときは買いませんでした。
    (高いし・・・)
    でも最近になって友達に借りたらとても便利だったので使いたいと言い出し悩んだのですがちょうどデパートで「鉄道忘れ物市」があると知り、そこで安く手に入れました。
    使い込まれていて中国語のソフトがはいっており、前の持ち主はどんな方だったのだろう、失くして困ったのではないかなどと考えてしまいました。

    私の高校時代にはもちろんそんなものはなく分厚い英和辞典はかさばる物でした。
    英語はそれなりに勉強したので(たぶん・・)単語を引くのはクラスでもかなり早かったです。
    慣れてくるとだいたいどのあたりを開けばいいか目星がつくんですよね。
    こんな感覚はキカイでは味わえないです。

  2. コメントありがとうございます。

    仰る通り、電子書籍にはメリットはありますし、
    良いとは思いますね。
    ただ、これから本が全てそちらに移行するとなるような
    時代が来てしまったらと思うと、寂しくなります。

    僕が高校生の頃には、殆どが電子辞書を持ってました。
    僕も一応持っていましたが、使っていた記憶がありません・・・(全然、勉強をしていなかったので・・・)
    ただ、授業の中で辞書で早く調べるというものがあり(今思えば、どんな内容の授業だと思いますが)
    担任曰く辞書を引く練習と言ってました。
    でも実際、大学、専門学校と進んでいくと
    「辞書の引き方がわからない」という友達も出て来て
    呆気にとられた事もありました。

    本には精密器機では味わえない、独特の感覚がいっぱいありますね。
    コメント頂きました辞書の目星もそうですし、
    色々書き込んだり、線を引いたり、
    または本のシミ・汚れや折れ目など、
    その本を再度開いた時に自分の過去を思い出す、
    自分の歴史の一部になるものだと思います。
    そういう意味で、これからも紙の本は残してほしいですね。

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