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こんにちは、大原です。
また大きな台風がやってくるとの天気予報を
気にしながら記事を書いております。
このブログがUpされる頃には
台風が大阪を無事に通り抜けていることを
願ってます。

それでは前回の続いて、湿の病についてです。
(前回の記事 金匱要略 痙湿暍病脈証治(第2)③

<条文2-19>
風濕相搏。一身盡疼痛。法當汗出而解。
値天陰兩不止。醫云。此可發汗。汗之病不愈者。何也。

蓋發其汗。汗大出者。但風氣去。濕氣在。是故不愈也。若治風濕者。發其汗。但微微似欲出汗者。風濕倶去也。

風湿、相搏ち、一身ことごとく疼痛し、法まさに汗出でて解すべし。
天の陰雨止まざるに値い、醫の云(いわ)く、これ汗を発すべし。

→「風」とは外邪で、
「湿」はその人がもっている体質で、この両者が相搏って体が痛む。
このような時には発汗剤で汗を出せば治るということである。

これを汗して病愈えざる者、何ぞや。
けだしその汗を発し、汗大いに出ずる者は、ただ風氣去って湿氣在り。
是の故に愈えざる也。

→しかし、汗をかかせても治らない場合があるが
これはなぜなのか?
それは、汗をかいて風気は去ったが
湿気が残っているために病が癒えないのである。

もし風湿を治するには、その汗を発するに、
ただ微微として汗出でんと欲するに似る者は、風湿ともに去るなり。

→汗をかかせる場合、大汗ではなく
ちょっと湿(しめ)る程度に汗を出させると良い。
そうすれば風湿がともに去るのである。

<条文2-20>
濕家病。身疼發熱。面黄而喘。頭痛鼻塞而煩。其脉大。自能飮食。腹中和無病。病在頭中寒濕。故鼻塞。内藥鼻中則愈。

湿家しっかの病、身いたみ、発熱し、面黄めんおうにしてぜんし、
頭痛し、鼻塞がって煩す。その脉大、おのずからよく飲食し、腹中和して病無し。
病、頭に在って寒湿にあたる。ゆえに鼻塞がる。薬を鼻中にるればすなわち愈ゆ。

薬方についての記述はないが、おそらく「瓜帯散かていさん」が主治すると考えられる。
病状からすると、消化器障害がないことがわかり、
これは病が頭にあって、寒湿にあたったからである。
それで鼻が塞がったので、薬を鼻の中に吹き込むと治るのである。

瓜帯散かていさん
<組成>
・瓜帯
・赤小豆
<病機>
痰涎が胸膈を壅塞しているか、宿食が上脘に停積し、気機を痞塞した状態である。
<方意>
有形実邪が壅塞していて上衝の勢いがあるので、
因勢利導し苦酸涌泄によって吐かせる。
苦味で涌泄に働く瓜帯が主薬で、痰涎宿食を催吐する。
胃気を損傷しないように、赤小豆の穀気により胃を保護し、快吐して傷正しないようにする。
赤小豆は酸味で祛邪・除満に働き、合わせると実邪を一挙に吐出して除くことができる。
(『中医臨床のための方剤学』より)

<条文2-21>
濕家身煩疼。可與麻黄加朮湯。發其汗爲宜。愼不可以火攻之。
●麻黄加朮湯方
麻黄三兩、去節。
桂枝二兩、去皮。
甘草一兩、炙。
杏仁、七十箇、去皮尖。
白朮、四兩。
右五味。以水九升。先煮麻黄。減二升。去上沫。内諸藥。煮取二升半。去滓。温服八合。覆取微似汗。

湿家、身煩疼はんとうするに、麻黄加朮湯を与うべし。
その汗を発するを宜しと為す。愼んで火をもってこれを攻めるべからず。

麻黄加朮湯方まおうかじゅつとう
麻黄三両、節を去る。
桂枝二両、皮を去る。
甘草一両、あぶる。
杏仁、七十箇、皮尖ひせんを去る。
白朮、四兩。
右五味、水九升をもって、まず麻黄を煮て二升を減じ、上沫を去り、諸薬をれ、煮て二升半を取り、かすを去り、八合を温服す。覆って微似汗びじかんを取る。

水毒のある人で体が痛いのは、麻黄加朮湯を与える。
そして汗を出すと良い。決して火で攻めてはいけない。
腱鞘炎の患者に麻黄加朮湯を使ったところ2〜3日でよくなり、
これは麻黄湯が風を去り、朮が湿を去るからであると思われる。

梅田の夕焼け
梅田の夕焼け

 


<参考文献>
『金匱要略講話』 創元社
『金匱要略も読もう』 東洋学術出版社
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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