下野です。
医に従事する者への心持ちを紹介してきた
「大医精誠第二」も今回が最終回となります。

※前回まではの記事はこちら。
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第一
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第二
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第三
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第四
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第五
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第六
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第七
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第八
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第九


【原文】

又不得以彼富貴、処以珍貴之薬、
令彼難求、自眩功能、諒非忠恕之道。
志存救済、故亦曲碎論之、学者不可耻言之鄙俚也。

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【書き下し文】

彼の富貴を以て
処するに珍貴の薬を以うるを得ず、
彼をして弁じがたからしめて
自ら功能を眩うは
忠恕の道にあらざるなり。
志救い済んことを存す。
故に亦曲碎に之を論じ、
学者言の鄙俚を耻つべからず也。

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では「大医精誠第二」、最後の現代語です。

「患者が富貴だからと、
高価で珍しい薬を処方して
患者が薬を買うことが出来ないようにし、
それによって自らの治療効果のように
見せるのは患者に対しての道理ではない。
医に携わる者の志は、
患者の救済にあるのであるから、
細々とこれを論じたかぎりである。
学ぶ者はこれらの言の
鄙俚であるのに恥じてはならない。」

いかがでしたでしょうか。
以前もどこかのBlog記事に
書いた記憶があるのですが、
歴代医家の書物を読んでいくと
治療方法に関して目がいってしまいますが、
中にはその医家の哲学や生き様
というものが書かれているものもあります。
そして、
そういったところに
著者の熱が込められている感じがあり、
非常に読んでいるこちら側ものせられてしまいます。

今後も心に響くものがあれば、
紹介をしていきます。

雲の隙間から輝く月
雲の隙間から輝く月

<参考文献>
『備急千金要方』 中国医薬科技出版社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『まんが中国医学の歴史』 医道の日本社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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