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下野です。
今回も「大医精誠第二」の記事になります。

※前回まではの記事はこちら。
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第一
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第二


【原文】
塞而壅之、寒而冷之、熱而温之、
是重加其疾、而望其生、吾見其死矣。
故医方卜筮、芸能之難精者也。
既非神授、何以得其幽微。
世有愚者、読方三年、便謂天下無病可治、
及治病三年、乃知天下無方可用。
故学者必須博極医源、精勤不倦、
不得道听途説、而言医道已了、深自誤哉。

<第四回に続く>
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【書き下し文】
若し盈つれば之を益し、
虚すれば之を損ない、
通ずれば之を徹し、
塞がれば之を壅ぎ、
寒なれば之を冷やし、
熱なれば之を温む、
是れ重ねて其の疾を加へて、
其の生を望むれば、吾其の死を見るなり。
故に医方卜筮は、芸能の精なり難き者なり。
既に神授せらるに非ざれば、
何を以て其の幽微を得ん。
世に愚者有りて、方を読むこと三年、
便ち天下に治すべき病無しと謂ひ、
病を治すること三年、
乃ち天下に用ふべき方無きを知る。
故に学者は必ず須らく博く医源を極め、
精勤して倦まず、
道聴塗説するを得ざるべきなれば、
医道已に了はれりと言ふは、深く自ら誤てるなり。

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では前回同様に、
現代語にしてみようと思います。

「もしみちているのに補い、
虚しているのに損ない、
下しているの泄させ、
滞っているのに塞ぎ、
寒なのに冷やし、
熱なのに温めたりすることは、
病を悪化させるだけで、
回復を願っても、
私はその死を見ることとなる。
医方と占いとは、
芸の中でも精通しにくいものである。
それが神に授けられたものでないならば、
何を以てその道理を会得するのか。
世の中に愚者がおり、
医方を読むこと三年、
天下に己が治するに足る病は無しといい、
病を治すこと三年、
天下に用いる方法など無いことを知る。
それ故に、
学ぶ者は必ず医学の源を極め、
気を緩めず精勤し、
根拠の無い伝聞を受け入れないでいるべきで、
医道を得たというのは
大きな誤りである。」

前回、
「雑な考えで治療すれば危険だぞ」
というニュアンスで終わりましたが、
その続きとして
治療方法を間違うと、
治るどころか 反って悪化させ、
死を見ることになると言い切っており、
占いや医学は芸事の中で
精通しにくいものだとしております。

次回につづく。

車内
車内

<参考文献>
『備急千金要方』 中国医薬科技出版社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『まんが中国医学の歴史』 医道の日本社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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