下野です。
「大医精誠第二」の続きになります。

※前回まではの記事はこちら。
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第一
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第二
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第三
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第四
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第五
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第六
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第七
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第八


【原文】

老君曰、
人行陽徳、人自報之、
人行陰徳、鬼神報之、
人行陽悪、人自報之、
人行陰悪、鬼神害之。
尋此貮途、陰陽報施、豈誣也哉。
所以医人不得恃己所長、
専心経略財物、但作救苦之心、
於冥運道中、自感多福者耳。

<第十回に続く>
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【書き下し文】

老子曰く
人陽徳を行えば、人自ら之に報い、
人陰徳を行えば、鬼神之に報い、
人陽悪を行えば、人自ら之に報い、
人陰悪を行えば、鬼神之に害す。
此の二途を尋るに、陰陽の報施、豈に誣んや。
医人己の長ずるところを恃み、
専心財物を経略するを得ず。
ただ苦を救うの心を冥道中に作せば、自ら多福に感ずるのみ。

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この「大医精誠第二」も残り僅かです。
では現代語にしてみます。

「老子が言うには
人が陽徳を行えばこれに報い、
陰徳を行えば鬼神がこれに報いる。
陽悪を行えばこれに報い、
陰悪を行えば鬼神が害を与えると。
この陰陽の報いを知れば、
因果応報のこと偽りであるだろうか。
医家は己の長ずるところを恃み、
財物に専心してはいけない。
ただ病人を救う心をおこせば、
自ら多福に感じるのみである。」

本当に一言で表せば、
医家たる者、
患者の治療に専心せよ
ということでしょう。

秋晴れの一時
秋晴れの一時

<参考文献>
『備急千金要方』 中国医薬科技出版社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『まんが中国医学の歴史』 医道の日本社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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