この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。


9/27(水)
太陽病中篇より


(124条)
太陽病、六七日、表証仍在、脈微而沈、反不結胸。
其人発狂者、以熱在下焦、少腹当鞕満、小便自利者、下血乃愈。
所以然者、以太陽随経、瘀熱在裏故也。抵当湯主之。
 

太陽病で6,7日経過して、表証が残り、
脈が微で沈の場合は結胸(胸中に痰飲と熱が結びついたもの)が起こらない。
発狂するのは下焦に熱があり、その熱が血に入り込んで心神を脅かすためである。
下腹部が硬く、小便の回数が増える。この場合、血を下せば癒える。
これらの病証や癒えるメカニズムは、
太陽経脈に従って瘀熱が
裏(ここで裏とは経脈よりも深い腑、すなわち膀胱の腑のことだろう)に
あるためである。抵当湯がこれを主る。抵当湯は、106条の桃核承気湯よりも
強い作用のある駆瘀血剤である。
条文の内容を106条と比較すると、
106条の「如狂」に対して本条は「発狂」とあり、
106条の「少腹急結」に対して本条では「鞕満」とあるなど、
病症がより強くあることがわかる。


(125条)
太陽病、身黄、脈沈結、少腹鞕、小便不利者、為無血也。
小便自利、其人如狂者、血証諦也、抵当湯主之。

太陽病で身体が黄色くなり、脈が沈で結(リズムが不安定)で、
下腹部が硬くなって小便の回数が少ない場合は、瘀血による症状ではなく
下焦に水飲が停滞している蓄水証である。
これに対して小便の回数が多い場合、かつ、「狂」のような状態にある場合には、
前条の通り蓄血証であり抵当湯が主る。
蓄水証の場合には五苓散が主ることは71条などに述べられている。

抵当湯の働きは瘀血を下すということであるが、
鍼治療においてはどのような配穴になるのだろうか。
ある書籍によると「巨虚上廉」穴を配穴するとあった。
これは、確かに熱や湿を下す作用はあるだろうが
血を下す場合には他の配穴の方が良いのではないだろうか。
疑義が残る配穴である。
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(126条)
傷寒有熱、少腹満、応小便不利、今反利者、為有血也。
当下之、不可餘薬、宜抵当丸。

125条に対する内容で、傷寒で熱があって下腹部が満している場合には
小便の回数が減るはずであるが、今の状態としては小便の回数が多い場合は
血証である。そのため、血を下せばよいが、
124条の状態よりも症状の程度が小さく(124条では少腹鞕満)、
抵当湯よりも緩やかに作用する抵当湯の方が良い。

(続く)

条文の真意は何なのかを探っています
▲条文の真意は何なのかを探る参加メンバー

参加者:下野、新川、大原、盧

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