一鍼堂スタッフの為沢です。
今回は魚際(ぎょさい)と少商(しょうしょう)を紹介致します。


手太陰肺経
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○魚際(ぎょさい)
肺経の滎火穴
「滎」とは、泉から流れ出たばかりの水が細い水流となるように
経気が微細に流れていく所という意味です。
また「火」に属することから、
肺の熱や肺経の熱に関わる経穴であり、
実の場合は、瀉法で宣瀉肺熱
虚の場合は、補法で滋陰清熱の作用があります。
熱を漏らす分にはよく効きますが、
熱を加える施術、お灸は適しません。
禁灸穴ですので気をつけて下さい。
肺経の流注は中焦より起こることから
中焦と密接な関係があるため、
魚際は脾胃の診断点としても活用できます。
脾胃の寒熱を判別したり、
母指球筋の肌肉の付き方で脾胃の状態を診ます。
○少商(しょうしょう)
肺経の井木穴
「井」とは水の源水の意味で、
ここでは経気の流れ出る所を意味しています。
「木」に属することから風に関わり、
肝木の気が流れるところで、
気を引いて降ろす、疎通されるという
作用があると考えられ、
風を押さえて神(しん)を蘇らせる作用があります。
少商は、手太陰肺経の終止穴であり、
もっとも敏感なところであります。
本穴は毫鍼で捻瀉または三陵鍼で刺絡させることで
神志の突然の変化、意識混迷、失神などの
陽実欝閉証を改善する救急穴とされています。
刺絡とは、皮下浅層の小動脈から
少量の血液を出血させることで疾病を改善する方法です。
肺経の熱、肺の熱が著しい時に、少商に刺絡することで
悪い血を出し熱が引いてきます。
ただし注意する点があり、
刺絡は血を出す強い施術法で、
正気が傷られる可能性が高いです。
実証の場合のみの施術方法で、
虚症の場合は適しません。
少商を刺絡して、濃く黒い血が出れば実で
肺の熱がよく取れてきますが、
薄く血の気がないものが出れば、
正気の弱りがあるので
直ちに出血を押さえて下さい。
刺絡は強い施術法なので
しっかり虚実を見極めてから施術して下さい。

学生さんのために

突然ですが出題。
Q1 手の陰経の井穴はどれか?
① 関衝
② 少沢
③ 少商
④ 商陽
Q2 𣓤側にない井穴はどれか?
① 商陽
② 中衝
③ 少商
④ 少沢
Q1が③  Q2が④です(肺経ではない正解ですみません)
井穴の名前が、ごっちゃになることがありますので
ここでしっかり覚えましょう。
陰経の井穴は木穴で、
陽経の井穴は金穴です。
覚えましょう。
簡単な解説ですが
手太陰肺経の解説は以上です。
次回からは手陽明大腸経に入ります。


参考文献:『針灸学[経穴篇]』 
       『臨床経穴学』
       『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
       『臓腑経絡学』      アルテミシア
       『基礎中医学』      神戸中医学研究会
 為沢

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