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この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



4/12(水)
太陽病中篇より

(93条)
太陽病、先下之、而不愈、因復発汗、以此表裏倶虚、
其人因致冒、冒家、汗出自愈、所以然者、汗出表和故也。
得表和、然後復下之。

太陽病に対して先に瀉下法を用いたが治らず、
さらに発汗法を用いて表・裏ともに虛し、
」という症状が出た。
この場合、汗が自ら出れば治り、これは表が和すためである。
また、表が和した後に下法を用いる。

」とはどのような状態をいうのだろう。
「鬱冒」という表記が金匱要略にあり、
気がめぐらずにめまいやふらつきといった症状が出る。
発汗して、鬱した気がめぐれば症状が治るということであろう。

(94条)
太陽病、未解、陰陽脈倶停、必先振慄、汗出而解、
但陽脈微者、先汗出而解、
但陰脈微者、下之而解、若欲下之、宜調胃承気湯主之。

条文の通り読むと、
太陽病がまだ治らず「陰陽脈」がともに「」の状態であれば、
かならずふるえがおき、汗が出て治る。
陽脈」が「」であれば発汗法で治り、
陰脈」が「」であれば下法で治り、
その場合は腸胃承気湯を用いるという内容である。
言わんとしている内容はなんとなく分かるが、
細かいところを見ると疑義が出てくる。

まず、この「陰陽の脈」とは何か。
傷寒論の冒頭の弁脈法には、
陽脈・陰脈の具体的な脈状が述べられているが、
文脈から、ここでは
陽脈=浮脈、陰脈=沈脈ととらえて
問題ないように思われる。

また、「」とは、表証であるはずの脈が
浮でもなく沈でもなく、
伏している状態と解釈するもの、
また、中位で脈が固定されていると解釈するものがある。

さらに、「」とは微脈をいうのではなく、
「すこしくする」「かすかに残る」とった意味として読むと
条文の意味が以下のようにつながってくる。

陰陽の脈が「」の状態であれば
かならずふるえがおき、汗を出して治す。
ただ、脈が微かに浮であれば汗を発して治す。
また、脈が微かに沈であればこれを下して治す。

(続く)


 

参加者:下野、新川、大原、盧

 

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