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こんにちは北野です。
前回に引き続き脾胃弁証について
書いていきたいと思います。

《3》中気下陥証

脾気の虚弱のために気機が下陥し
体内外を収斂し持ち上げる機能が
衰えるという病理変化を指す。

【臨床所見】
脘腹部に下垂感と膨満感があり、食後増悪する。
息切れ、倦怠、脱力感、声が低く懶言、
頭暈、目眩、舌質淡、舌苔白、脈弱。
あるいは慢性の下痢、脱肛、子宮脱などをともなう。

【証候分析】
①内蔵下垂:
脾気虚のため、昇精機能が低下し
中焦の気が下陥しておこる。胃下垂が多い。

②脘腹部に下垂感と膨満感:
中気不足のため、昇挙無力となり、
胃が下垂しておこる。飲食物が入ると
気陥がひどくなるので、症状は憎悪する。

③しばしば便意がおこる、下痢、脱肛:
中気下陥の症候。

④子宮脱:
脾気虚のため昇挙無力となりおこる。

⑤息切れ、倦怠、脱力感、声が低く懶言:
脾気不足の症候

⑥頭暈、目眩:
脾気下陥により、清陽の気が
頭部に到達しないためにおこる。

⑦舌質淡、舌苔白、脈弱:
脾気虚弱の象。

【治療】
治法:益気昇堤
治療穴:足太陰経、足陽明経、督脈経穴を主に取る。
手法:針にて補法を施す。灸法も可。

《4》脾不統血証

脾不統血とは、脾気が虚弱なために血液を
包み込んでおくことができず、血液が脈から
溢れ出してしまうという病理である。

【臨床所見】
血便、血尿、肌衄、歯衄、
月経出血過多、崩漏。食少、
大便溏薄、精神疲労、脱力感、
息切れ、懶言、顔色がすぐれない、
舌質淡、舌苔白、脈細弱。

【証候分析】
①各種出血:
脾気が虚して、統血機能が低下すると、
各種出血症がおこる。

②月経出血過多、崩漏:
中気不足のため、昇挙無力となり、
胃が下垂しておこる。飲食物が入ると
気陥がひどくなるので、症状は憎悪する。

③食少、大便溏薄、息切れ、懶言など:
脾気虚の症候。

【治療】
治法:益気摂血
治療穴:足太陰経、足陽明経、任脈経穴、本臓の背兪穴を主に取る。
手法:針にて補法を施す。灸法も可。

《5》寒湿困脾証

寒湿を外感したことによって邪気が経を伝って体内に溜まったり、
食生活を不節制にしたり、なま物や冷たいものばかりを
好んで食べたりすれば、脾陽を痛めつけるので、
脾の運化機能が失調し、寒湿が停滞して寒湿困脾
という病理が起こる。

【臨床所見】
脘腹部のつかえ、脹痛、食少、大便溏薄、
悪心、口淡、口渇はない、頭や身体が重だるい
顔色晦黄、舌質淡胖、舌苔白膩、脈濡緩。
肌膚や顔目が黄色い、浮腫、小便短少。

【証候分析】
①脘腹部のつかえ、脹痛、食少:
寒湿が侵入したために、脾陽が傷害され、
運化機能が失調する結果おこる。

②大便溏薄、泄瀉:
運化機能の失調と水湿のためにおこる。

③悪心欲吐:
胃失和降によりおこる。

④口淡:
寒湿が味覚を低下させると口淡となる。
水湿が盛んなため口渇はない。

⑤頭や身体が重だるい:
湿には「重着」という特性があるため、湿が肌肉に
影響すると身体が重だるくなる。
また湿に阻まれて、清陽が頭部に充分昇れなくなると頭重となる

⑥顔色晦黄:
湿により気滞がおこり、気血の運行が悪くなっておこる。

⑦浮腫:
寒湿が肌膚に溢れておこる。

⑧小便短少:
膀胱の気化機能が失調しておこる。

⑨舌質淡胖、舌苔白膩、脈濡緩:
寒湿内盛の象

【治療】
治法:温中健脾利湿
治療穴:足太陰経、足陽明経、足少陽経穴を主に取る。
手法:針にて瀉法を施す。あるいは針灸を併用する。

以上、中気下陥証、脾不統血証、寒湿困脾証に
ついて書かせて頂きました。

北野


参考文献:

『針灸学基礎編』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社

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