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インドカレー
インドカレー屋さんにて(スープカレーのセット)
インドのカレーは小麦粉を使わないそうで、サラッとしてました。

こんにちは、大原です。
前回(上工と下工 その3)は、
素問 八正神明論篇(第26)に記されている、
上工とはどのような者かについての内容を
みていきました。

上工とは、
天候や星の運行、気候の変動を把握し、
三部九候の脈を診ることで、
症状が表に出ていないうちに、
身体の変化、すなわち病の形を察知する
という説明がありました。

その続きをみていきましょう。

帝曰、余聞補寫、未得其意。
岐伯曰、
寫必用方。方者、以氣方盛也、以月方満也、以日方温也、以身方定也。
以息方吸而内鍼。
乃復候其方吸而轉鍼、
乃復候其方呼而徐引鍼。
故曰寫必用方、其氣而行焉。
(瀉法とは、気の盛んなる「方(ほう)」の考え方を用います。)

補必用員。員者、行也。行者、移也。刺必中其榮、復以吸排鍼也。
(補法とは、気をやる「円(えん)」の考え方を用います。)

故員与方、非鍼也。
故養神者、必知形之肥痩、榮衞血氣之盛衰。
血氣者、人之神、不可不謹養。
(補瀉を行うには営衛血気の盛衰を知るべきです。血気とは養うべき神です。)

帝曰、妙乎哉論也。
合人形於陰陽四時、虚実之応。冥冥之期、其非夫子、孰能通之。
(なるほど。人体を、陰陽、四季、虚実に対応させる、すばらしい説明です。)

然夫子数言形与神。何謂形、何謂神。願卒聞之。
(ところで、「形」とは何ですか? 「神」とは何ですか?)

岐伯曰、請言形。
形乎形、目冥冥、問其所病、索之於経、慧然在前。
按之不得、不知其情。故曰形。
「形」とは目にみえるもので、病のある所を問うことでその経脈を探り、
はっきりととらえることができるものです。
これを按じても、その症状は分からず、知ることはできません。)

帝曰、何謂神。岐伯曰、請言神。
神乎神、耳不聞、目明、心開、而志先。慧然獨悟、口弗能言。
倶視独見。適若昏、昭然獨明、若風吹雲。故曰神。
(「神」とは、聞かずとも明らかに見え、独り病状を見抜き悟るものです。ゆえに「神」といいます。

三部九候爲之原。九鍼之論、不必存也。
(これが三部九候の脈診の原理であるから、必ずしも九鍼の理論にこだわらなくてもよいのです。)

以上で、八正神明論篇(第26)が終わります。

今回の記事の中には
「上工」という言葉は出てきませんでした。
ですが、「形」だけでなく
「神」の診察を行うことができる者が
上工ということだと思います。

霊枢「九鍼十二原篇(第1)」では、
上工とは、鍼をする場所だけでなく
「機」をとらえることができる者である
という記述がありましたね。
(参考記事 「上工と下工 その1」)

以上から、上工とは
目にみえるものだけでなく、
それ以外のあらゆる要素をふまえて
診察・治療ができる者をいうのでしょう。
下工には分からないような邪の性質を、
上工は独りとらえることができるという
その診察の技術のようなものを
「神」と表現していると思います。

一つの解釈として、
上工のような診察や治療を行うためには、
「神」すなわち「勘」のようなものが
大事ということではないでしょうか。


参考文献:
『黄帝内経 素問 上巻』 東洋学術出版社

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

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