諸菓寒具など、炙食へば害なし。
味も可也。
甜瓜は核を去て蒸食す。
味よくして胃をやぶらず。
熟柿も木練も皮共にあたためて食すべし。
乾柿はあぶり食ふべし。
皆脾胃虚の人に害なし。
梨子は大寒なり。
蒸煮て食すれば性やはらぐ。
胃虚寒の人は食ふべからず。

(果物は、火に炙って食べれば
害もなく、味も良い。
メロンは種を取り、蒸して食べる。
そうすると味が良く、胃の負担も少ない。
柿は皮のまま熱湯で温めて食べなさい。
干し柿は火に炙って食べると、
胃腸虚弱の者でも害はない。
梨は大寒であるから、
蒸すことでその性質は和らぐが、
胃に冷えのある者は食べては行けない。)

貝原 益軒『養生訓』より

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下野です。
食欲の秋。
食べ物が美味しい季節となりましたので、
それに合わせて
今回は『養生訓』より、
果物の食し方についてです。

『養生訓』では
果物には火を通しなさいと
書かれていますが、
理由は冷えを取り込むからであると
されています。
実際の臨床に於いても、
果物を食べ過ぎたことにより
脾胃の陽気を傷つけ、
体調を崩される方が多く見受けられます。

特に、今時期であれば
本文にも出てくる”梨”。
あまり果物を食べない僕ですが、
先日 実験的に梨をまるまる1個食べたところ、
翌日から頭痛、水様下痢といった
症状に3日間おそわれ、
”梨”の食べ過ぎで体調を崩される方の
状態を、身を以て体感致しました。

皆さんも
「食欲の秋」とはいえ、
というよりも”だからこそ”
十分に御注意下さい。


<参考文献>
『養生訓』 貝原守一博士校訂本
『口語 養生訓』 日本評論社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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