こんにちは、本多です。
9月も半ばを過ぎ 朝晩の風の冷たさから
秋を感じる季節となりました。
肌寒い中で夕焼けなんかを見ますと
胸から何かスーッと抜けるような感覚を覚え、
この感覚を言葉で伝えるには 何か良い表現がないかな?と
古人の表現を参考にしようと思い、
俳句に着目してみました。

俳句とは、五・七・五の十七音から成る句で、
古人はその時の心境や情景を個性豊かな言葉で表現しており、
そのたった十七音の言葉だけで、
情景を思い浮かばせるよう様々な工夫が施されています。
気温が低くなり肌寒くなってきた季節に
次の様な句が詠まれているので御紹介させて頂きます。

 

新涼や 白きてのひら あしのうら」(川端 茅舎)

 

この句を詠んで、
夏が終わることへの寂しさを感じました。

今後も、良い一句があればブログで御紹介したいと思います。


さて、今回は腹證奇覧に掲載しております、
小陥胸湯についてです。

小陥胸湯

小陥胸湯
小陥胸湯


図の如く、心下より下脘の辺までの間、
硬くはりて、これを按せば痛み甚だしく、
身を動かせば腹にこたえて痛み、甚だしきものは肩背強ばる。
熱、胸中に聚るゆえなり。此の證、水気、熱と相結ぶといえども、
大熱実堅硬を成さず。故に小結胸の名あり。
半夏・括蔞実は、痰飲水気を解し、黄連は心胸間の熱を去る。
他の大黄・芒硝・完遂等、
攻撃のものを伍せざるを以て考うべし。
故に心下硬といえども堅硬をなさず、
胸満すといえども高起するにいたらず。


【小陥胸湯:組成】

黄連(おうれん)

黄連
黄連

キンポウゲ科のオウレン属の根茎。
性味:苦・寒
帰経:心・脾・肝・胆・胃・大腸
主な薬効と応用:健胃・利胆・鎮痙
①清熱燥湿:大腸湿熱の下痢・裏急後重などに用いる。
方剤例⇒芍薬湯

②清熱瀉火:熱入心包の高熱・意識障害・うわごと・
煩燥などの症候時に用いる。
方剤例⇒牛黄清心丸

③清熱解毒:熱毒による高熱・煩燥・目の充血・腫痛・
咽喉腫痛・皮下出血・嘔吐などの症候に用いる。
方剤例⇒黄蓮解毒湯

備考:苦寒のため、多量を用いると胃を損傷する。
湿熱や実火でないものや脾胃虚寒には禁忌である。



半夏(はんげ)

半夏
半夏

サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。
性味:辛・温・有毒
帰経:脾・胃
主な薬効と応用:鎮静・鎮咳・去痰
①燥湿化痰:湿痰の咳嗽・多痰・胸苦しさ、或いは痰濁上擾による
眩暈・不眠・悪心などの症候時に用いる。
方剤例⇒二陳湯

②降逆止嘔:胃寒・胃熱・胃虚による嘔吐時に用いる。
方剤例⇒胃寒による嘔吐→小半夏湯
胃熱による嘔吐→黄連橘皮竹筎半夏湯
胃虚による嘔吐→大半夏湯

③消痞散結:痰熱による心窩部の痞えなどに用いる。
方剤例⇒半夏瀉心湯
備考:辛散温燥のため、
陰虚の燥咳・傷津の口渇・出血には用いてはならない。



栝楼仁(かろにん)

栝楼仁
栝楼仁

ウリ科のシナカラスウリなどの
果実全体・種子・種子を圧搾して油分を除いたもの。
性味:甘・寒
帰経:肺・胃・大腸
主な薬効と応用:清火熱痰・利気寛胸・散結
①清熱化痰:痰熱による咳嗽・粘稠で喀出しにくい痰・
胸苦しいなどの症候時に用いる。
方剤例⇒栝楼枳実丸

②利気寛胸:痰濁阻滞による胸痺の胸痛時に用いる。
方剤例⇒栝楼薤白半夏湯

③消腫散結:肺癰などの咳嗽・膿血痰・胸痛などの症候時に用いる。
方剤例⇒治肺癰方

④潤腸通便:腸燥便秘に用いる。
方剤例⇒栝楼煎
備考:脾胃虚弱の嘔吐や泥状便には用いてはならない。


【小陥胸湯:効能】

傷寒論には以下の記載があります。

小結胸病、正在心下、按之則痛、脈浮滑者、小陥胸湯主之。
「小結胸の病は、 正に心下に在り、之を按ずれば則ち痛み、脈浮滑の者、小陥胸湯之を主る。」

熱邪が心下に陥入し、
内生の痰に結びついて内結した「小結胸」を除去する。
痰熱互結 に対して、
清熱化痰寛胸散結 の効能がある。

小陥胸湯について→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百三十七章・百三十八章


参考文献:
『生薬単』 NTS
『漢方概論』 創元社
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『傷寒雑病論』
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧 正編2巻・後編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004914

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多

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