高層マンション
高層マンション

下野です。
いたるところで高層マンションが
次々と建設され、街も様変わりしてきました。
綺麗になり、利便性もアップしましたが、
それと引き換えに古くからの景観が
なくなってもきており、
その街特有の雰囲気が消されて
少し寂しく思います。

では『薬性の歌』に参りましょう。


【原文】
檳榔辛温、破気殺蟲、逐水祛痰、專除後重。
腹皮微温、能下膈気、安胃健脾、浮腫消去。
香薷味辛、傷暑便渋、霍乱水腫、除煩解熱。
扁豆微涼、転筋吐瀉、下気和中、酒毒能化。
猪苓味淡、利水通淋、消腫除湿、多服損腎。

<第十二に続く>


【現代語訳・解説】
檳榔は辛温。
滞破して虫積、利水、祛痰の効能があり、
後重に適する。

腹皮は微温。
膈気を下し、胃を安らかにして
脾を健て、浮腫を治す。

香薷の味は辛。
傷暑の便渋、水質の水腫や霍乱、除煩解熱に。

扁豆は微涼。
腓返り、吐瀉に。
気を下して中気を和し、解毒に働く。

猪苓の味は淡。
利水通淋で腫を消して、湿を捌く。
多く服用すると腎を損なう。
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◉檳榔

ヤシ科の檳榔樹の成熟した種。
性味:苦・辛・温
帰経:胃・大腸
効能
①行気消積・瀉下:
・食積気滞の腹満や腹痛、便秘等に。
方剤例 → 木香檳榔丸
・湿熱下痢のテネスムスに。
方剤例 → 芍薬湯
②利水消腫:
・脚気の腫脹や痛みに。
方剤例 → 鶏鳴散・九味檳榔湯
・実証の水腫に。
③殺虫:線虫や回虫の虫積に。
④その他:マラリア等に。

◉腹皮

ヤシ科の檳榔樹の成熟した果皮。
性味:辛・微温
帰経:脾・胃・大腸・小腸
効能
①下気寛中:湿阻気滞の腹満や排便がすっきりしない等に。
方剤例 → 藿香正気散
②行水消腫・止瀉:
・水湿外溢の浮腫や尿量減少等に。
方剤例 → 五皮散
・脚気の腫脹や痛みに。
・脾胃湿困の腹満や下痢に。
方剤例 → 一加減正気散・五加減正気散

◉香薷

シソ科のナギナタコウジュ属の全草や、
ホソバヤマジソ等のイヌコウジュ属植物。
性味:辛・微温
帰経:肺・脾・胃
効能
①発汗解表・和中化湿:
夏季に納涼や冷食物により寒邪の外感と
同時に湿邪が中焦を損傷。
悪寒・発熱・頭重・腹痛・嘔吐などの症状に。
方剤例 → 香薷飲
②利水消腫:顔の浮腫・無汗・尿量減少に。
方剤例 → 薷朮丸

◉扁豆

マメ科のフジマメの成熟した種。
性味:甘・微温
帰経:脾・胃
効能
①消暑化湿:暑邪狭湿の嘔吐や腹満、腹痛、下痢に。
方剤例 → 香薷飲
②健脾化湿:脾虚湿濁の泥状・水様便、食欲不振等に。
方剤例 → 参苓白朮散
③解毒和中:酒や魚介類の中毒による嘔吐や下痢に。

◉猪苓

猪苓
猪苓

サルノコシカケ科のチョレイマイタケの菌核。
性味:淡・甘・平
帰経:腎・膀胱
◎為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論: 弁陽明病脈証并治 二百二十二章・二百二十三章

チョレイマイタケ(猪苓舞茸)の菌核は
ゴツゴツした形をしており、
その形がイノシシの糞に似ていることから
「猪苓」という名がついたようです。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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