乳汁自漏(産後の乳汁漏出)

嬰児が吸わないのに乳汁が自然と流出するもので、
俗称「漏奶(ろうない)」という。

<『症状による 中医診断と治療』(燎原書店)より>

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以前に母乳が出ないという記事(こちら→乳汁不行(母乳が出ない)
を書きましたが、今回は相反する状態
母乳が勝手に出てしまうという状態です。
中医学的には乳汁不行と同様に
気血両虚、肝鬱、肝火によるものが考えられ、
治療には虚実の弁別が重要となりますので、
それぞれの鑑別点を記載します。

①気血両虚によるもの
産後の栄養不足や出産時の出血多量によって気血が不足し、
胃気による乳汁の制約が出来ず、乳汁が漏出する。
鑑別点:少量の乳汁が漏出し色はうすい・乳房は柔軟で張っていない
・動悸・息切れ等気血両虚の症状を伴う。

②肝鬱によるもの
産後の情緒不安(怒り)が原因で肝気鬱結が生じ、
肝気が胃に横逆した結果、胃の固摂ができなくなり
乳汁が漏出したもの。
鑑別点:少量の乳汁が漏出し色は濃い・乳房は硬く張って痛む・イライラ等。

③肝火によるもの
②の肝鬱の状態が続いて化火し、肝火亢盛となって疏泄が過度となり
乳汁を外溢させて発生する。
鑑別点:乳汁は大量で色は濃い・乳房は張って痛む・口苦・眩暈・イライラ
・多夢・尿が濃い等。

乳汁不行、乳汁自漏ともに
気血両虚や肝鬱が基で発症すると考えられていますが、
僕自身が臨床から感じる事は、
その患者さんの素体は勿論ですが、
産後すぐの生活環境が非常に影響する
(当たり前の事ですが)と感じております。
ただ、まだ絶対的なものでないため
この場で どちらがどういった生活環境との明言は避けますが、
今後 傾向を探って行こうと思います。

 

下野

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