「三陰交」の穴性について学んでいきます。

<三陰交について>
・足三陰経(肝・脾・腎経)の交会穴
・衝脈の流注ぐところ

<主治>
健脾摂血 活血祛瘀 
補血 育陰
補肝 益腎 益陰固陽 培補精血
化湿 行湿 理湿
調気
調血 気血調和 陰陽両補

 


<病態生理>

① 婦人科疾患
婦人科病の経,帯,胎,産諸疾、衝・任・帯脈とは密接な関係がある。
衝脈は「血海」をなし、
任脈は「胞胎」を主っており、
帯脈は「諸脈を約束」している。
胞宮の作用は衝・任脈の影響を受けている。

衝・任・帯脈 は「肝・脾・腎」と密接に関係している。

腎は蔵精し、胞宮に連絡する。
脾胃は生化の源である。
虚して化源が不足し、脾土の機能が悪くなると腎精は資生せず
衝任はその滋養を失い、血海と胞宮がその影響を受けると病になる。
したがって、男女の生殖器と泌尿器系の病、
血に絡む病症と婦人科系の常用穴となる。

 

三陰交を操作することで、行気が起こり、
脾胃の化源を促し、肝腎の精血を造成する効果を増強する。

肝は蔵血し、腎は蔵精する。
精血は月経生成の本とされている。
精血は脾・胃・肝・腎により資生し、
衝任に集まり、胞宮に達し、
満ちた後に溢れることにより月経は周期的に来潮する。

肝腎の精血が少なくなると衝任に影響する。
先天の腎気と後天の脾胃が虚損しても、
生成の源が不足するために衝・任・帯脈が充足できずに影響する。
胎も栄養きれなくなるので、
経・帯・胎・産(月経・帯下・妊娠・産後)の諸疾が生じる。
このように衝・任・帯・三脈の失調は、肝・脾・腎 三臓と関係がある。

 

肝気欝結すると血滞となったり、乳絡が阻滞する。
肝血不足により肝陽は充進し、
肝気上逆により血は気に随って上衝する。

また労俗、憂慮、思慮、は脾を損傷し生化の源が不足する。
中気が不足すると血を統摂できなくなり、
脾陽に障害が生じると、湿濁が内停する。

肝脾の不調により気滞血凝になると、営血の輸送が悪くなる。
脾腎両虚になると帯脈失約となる。
これらはすべて胎産経帯および胞宮などの病をひきおこす。

また腎陰不足、精血不足、腎陽不振、腎気虚寒など、
すべて経・帯・胎・産および胞宮などの病をひきおこす。

 

成年の婦人は月経、 出産、授乳などにより
「血を以て用と為す」 特徴があり
血を消耗しやすい生理的特徴がある。

したがって情志が激動しやすく、肝気は鬱滞しやすい。
これらにより血分不足、気分偏盛になると、
肝気鬱滞,肝血不足となることが多い。
足三陰経は少腹部を循り陰器に結しており、
三陰交には疏理肝脾、肝脾腎三臓を補益する作用があり、
また血証の要穴でもある。

肝・脾・腎・三臓の機能失調が、
衝・任・帯脈に影響しておこる病証に本穴を用いることができ、
三陰交は婦人科疾患を治療する常用穴とされている。

今回三陰交を機に、足三陰の臓腑病理や関係性を整理してみました。
たとえ主訴が婦人科疾患だとしても、
果たして全て三陰交で対応して良いか
追試すべきところはあり、
全体の臓腑のバランスをよく鑑みて用いるべきと考えます。

つづく

『十四経発揮』足太陰脾経絡
『十四経発揮』足太陰脾経を模写しながら勉強しました。

 

 


《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 本間 祥白 著
『現代語訳・黄帝内経素問』  東洋学術出版
『現代語訳・黄帝内経霊枢』  東洋学術出版
『中医臨床』 第34巻 第1号  p.145 穴性論 著:李昇昊 他
『中医鍼灸 臨床発揮 』  著:李世珍

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here