<当院でのコロナウイルス対策のご案内>
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問診にて、
睡眠の情報を確認する際、
「夢」について伺うことがあります。
今回は睡眠時にみる「夢」について、
東洋医学からみた解釈を探っていきます。
夢について記載がある古典として、
黄帝内経霊枢の『淫邪発夢篇』が挙げられます。
『淫邪発夢』：
淫邪は「邪気の侵入」、発夢は「夢を生じさせる」。
よって、
「邪気が侵入してくると夢を誘発する」という意味となります。
さて、
具体的には、
どのようなものが夢に影響するのでしょうか。
「陰気盛、則夢渉大水而恐懼。陽気盛、則夢大火而燔焫。」
(黄帝内経霊枢 淫邪発夢篇より 引用)
→陰気が盛んになると、大水を渡って恐れおののく夢を見ます。
陽気が盛んになると、大火事があって灼熱を感じる夢を見ます。
「陰陽倶盛、則夢相殺。」
(黄帝内経霊枢 淫邪発夢篇より 引用)
→陰陽の気がともに盛んであれば、
互いに殺し合う夢を見ます。
「上盛則夢飛、下甚則夢堕。」
(黄帝内経霊枢 淫邪発夢篇より 引用)
→身体の上部で邪が盛んであれば、飛翔する夢を見ます。
身体の下部で邪が盛んであれば、墜落する夢を見ます。
「甚饑則夢取、甚飽則夢予。」
(黄帝内経霊枢 淫邪発夢篇より 引用)
→著しく空腹なときは、人からものを取りあげる夢を見て、
満腹になり過ぎると、他人に者を与える夢を見ます。
「肝気盛、則夢怒。肺気盛、則夢恐懼、哭泣、飛揚。
心気盛、則夢善笑、恐畏。脾気盛、則夢歌楽、身体重不挙。
腎気盛、則夢腰脊両解不属。」
(黄帝内経霊枢 淫邪発夢篇より 引用)
→肝気が盛んだと怒る夢を見ます。
肺気が盛んだと恐れおののき、声をあげ涙を流して泣き、飛翔する夢を見ます。
心気が盛んだと、よく笑い、おそれる夢を見ます。
脾気が盛んだと、歌を唱い楽しむが、身体が重くなる夢を見ます。
腎気が盛んだと、腰と背骨とが分離してほどける夢を見ます。
以上のように、
陰陽の変調、上下の気の変調、飢えや飽食、五臓の状態などによって
実に様々な夢を見ることが綴られております。
この他、
黄帝内経素問の
・『診要経終論』
・『脈要精微論』(※こちらの夢に関する文節に関してはあやまって記載されたという説もあり)
・『方盛衰論』
にも同じ様に「夢」に関する記載があります。
夢の内容には
身体がどのような状態になっているかを知る手掛かりがある、
そのように古人が
「夢」に対して考察を重ねていたことは興味深い点であります。
参考文献：
『東洋医学概論』医道の日本社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』
『現代語訳◉黄帝内経素問 中巻』
『現代語訳◉黄帝内経素問 下巻』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 下巻』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』
『中医学の基礎』 東洋学術出版社
『中国医学辞典 基礎篇』
『中国医学辞典 鍼灸篇』たにぐち書店
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
