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こんにちは、大原です。
前回の続き(鍼灸甲乙経を読む その34)です。

<原文>

「人有熱飮食下胃、其氣未定、汗則出於面、或出于背、或出於身半、其不循衞氣之道而出何也?」

「此外傷于風、内開腠理、毛蒸理泄、衞氣走之、固不得循其道、此氣慓悍滑疾、見開而出、故不得從其道、名曰漏泄」

中焦亦並胃口、出上焦之後、此所以受氣、泌糟粕、蒸津液、化其精微、上注於肺、乃化而爲血、以奉生身、莫貴於此。
故獨得行於經隧、命曰營。」

<読み>
曰く、
「人熱あり、飮食胃に下る、その氣いまだ定らず、汗すなわち面に出ず。
あるいは背に出で、あるいは身半に出ず。
その衛気の道に循わずして出づるは何ぞや?」と。

曰く、
「此れ外は風に傷られ、内は腠理開き、毛は蒸し理は泄れ、衛氣これに走る。
固よりその道に循うを得ざるなり、この氣は慓悍滑疾ひょうかんかつしつなり、見開かれて出づ。
ゆえにその道に従うことを得ず。名づけて漏泄と曰う」と。

中焦もまた胃口(『霊枢』では「胃中」)に並び、上焦の後に出づ。
この受くる所の氣は、糟粕を泌し、津液を蒸し、その精微を化し、上りて肺に注ぎ、
すなわち化して血と為し、もって身を奉生す。
これよりとうときはし。

ゆえにひとり經隧けいすいを行くこと得、命じて營と曰う」と。

<読み>
申されるに
「人が体に熱のあるときに、食べ物を食べてそれが胃に下りまだ消化もされず、
したがってその氣がまだ定まらないのに、
汗が出てくることがある。それも顔から出たり、または背中や体の半身から出たりして
それは衛気の通る道に循わずして出るということはどういうわけであろうか?」と。

お答え申し上げるに、
「これは外部から風邪に傷られ、内は熱のために腠理が開き、
毛は熱気のために蒸されて上に押し上げられるような形となり、
腠理から泄れるようになるので、
衛気は(防衛のために)走ってそこにかけつけます。

したがって固泄されるべき正常な順路に循うことができません。
この氣は慓悍滑疾であり、
見開かれて(開けっ放しになって)いるところに出ていくのでありますから、
正規の通路に
従うことができません。
この状態を漏泄というのであります」と。

中焦もまた胃口(『霊枢』では「胃中」)に並んで、上焦の出た後から出るものである。
その受くる所の氣は、糟粕をしぼり、津液を蒸して精を微細な粒子に化し、
上らせて肺(『霊枢』では「肺脈」)に注ぎ、また津液を化して血を作り、
それによって人間の身体を育生するのであります。
したがって、これより貴重なものはありません。
それゆえに独立して經隧けいすいを行くことができるのであります。
これを営というのであります」と。

一番最後の段落に出てくる「経隧けいすい」とは
どのような意味か、
それぞれの漢字の意味からまとめると
「経」:本道がウネウネ曲がっていて遠いときに、直線状につなぐ近道のこと。
」:トンネルの意で、その原義は墓穴に導く長い洞穴のこと。
であることから、
通常一般にはあまり用いない直線状の潜道という意味となります。


参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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