<近日開催予定のイベント>
3月18日(日) :告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会


どうも、新川です。

先日、
【中国の行事】旧正月とは?
の記事で春節祭について触れましたが、
実際に神戸元町の春節祭へ行ってきました!

中華街のゲートをくぐると、
たくさんの人が通りを埋め尽くし、
その通りから目線を上にあげると、
赤いペナントに『福』の文字。

私が通りかかった時は、
女性の歌い手さんが特設ステージにて
「雨の御堂筋」を熱唱している最中で、
つられて歌詞を口ずさんでいる方もいらっしゃいました。

春節祭 歌い手さん
春節祭 歌い手さん

お店の前では、
北京ダックや小籠包、中華風焼きそばなどが売られ、
道行く人がそれらを頬張りながら
春節祭を楽しんでいるようでした。

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ここからが本篇です。
『温病条辨』巻首 原病篇
の続きを 綴って参ります。


温病条辯

【巻首 原病篇】

《熱病篇》曰、
「熱病不知所痛、耳聾不能自収、口乾、陽熱甚、陰頗有寒者、熱在骨髓、死不可治。」
「熱病已得汗、而脉尚躁盛、此陰脉之極也。死。
其得汗而脉静者、生。
熱病者、脉尚盛躁而不得汗者、此陽脉之極也。死。
〔陽脈之極、雖云死徴、較前陰陽倶静有差。
此証猶可大剤急急救陰、亦有活者。
蓋已得汗而陽脈躁甚、邪強正弱、正尚能与邪争、若留得一分正気、便有一分生理、只在留之得法耳。
至陰陽倶静、邪気深入下焦陰分、正無捍邪之意、直聴邪之所為、不死何待〕
脉盛躁得汗静者、生。熱病不可刺者有九。
一曰、汗不出、大顴発赤、噦者死。
二曰、泄而腹満甚者死。
三曰、目不明、熱不已者死。
四曰、老人嬰兒、熱而腹満者死。
五曰、汗不出、嘔下血者死。
六曰、舌本爛、熱不已者死。
七曰、欬而衄、汗不出、出不至足者死。
八曰、髓熱者死。
九曰、熱而痙者死。腰折、瘈瘲、歯噤齘也。
凡此九者、不可刺也。」
太陽之脈、色栄顴骨、熱病也、与厥陰脈争見者、死期不過三日。
少陽之脈、色栄頬前、熱病也、与少陰脈争見者、死期不過三日。

→《熱病篇》に曰う、
「熱病にて痛む所を知らず、耳聾し自ずから収ること能わず、
口乾き、陽に熱甚だしく、陰に頗る寒有る者は、熱骨髓に在り、死し治すべからず。」
「熱病にて既に汗を得て、脉尚躁盛なるは、此陰脉の極なり。死す。
其汗を得て而脉静の者は、生く。
熱病の者、脉尚盛躁にして汗を得ざる者は、此陽脉の極なり、死す。
〔陽脈の極み、死徴と云うと雖も、前の陰陽倶に静と較べ差有り。
此の証猶大剤にて急急に救陰し可し、また活くる者有り。
蓋し已に汗を得て陽脈の躁甚だしきは、邪強く正弱きも、正尚能く邪と争い、
若し一分の正気を留得すれば、便ち一分の生の理有り、只留むるの得法に在るのみ。
陰陽倶に静に至れば、邪気は下焦陰分に深入し、正に邪を捍ぐの意なし、直ちに邪の為す所を聴くに、死せず何をか待たん〕
脉盛躁なるも、汗を得て静なる者は、生く。
熱病にて刺すべからざる者に九有り。
一に曰う、汗出でず、大いに顴発赤し、噦する者は死す。
二に曰う、泄して腹満甚だしき者は死す。
三に曰う、目明ならず、熱已まざる者は死す。
四に曰う、老人嬰兒、熱して腹満する者は死す。
五に曰う、汗出でず、嘔し下血する者は死す。
六に曰う、舌本爛れ、熱已まざる者は死す。
七に曰う、欬して衄し、汗出でず、出づるも足るに至らざる者は死す。
八に曰う、髓熱する者は死す。
九に曰う、熱して痙する者は死す。腰折れ、瘈瘲し、歯は噤齘するなり。
凡そ此の九は、刺すべからざるなり。」
太陽の脈、色顴骨に栄ゆるは、熱病なり、厥陰の脈と争い見わるる者は、死期三日を過ぎず。
少陽の脈、色頬前に栄ゆるは、熱病なり、少陰の脈と争い見わるる者は、死期三日を過ぎず。

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この条では、
黄帝内経霊枢の《熱病篇》から引用し、
熱病の死候と禁針の症例が述べられている。

解釈:
熱病であるのに苦痛を自覚せず、耳が聞こえず口乾があり、上半身(陽)に熱がつよく、
下半身(陰)が冷えるのは、熱が骨髄に入ったことを示し、治療が困難である

熱病で汗が出たのに脈が燥盛であるのは、
陰液が涸渇し陽が外に浮いているのであり、気急状態である。
汗が出て脈が平静になるのは、邪が外解し正気が回復しつつあることを示し、予後は良好である。
熱病で脈が躁盛で汗が出ないのは、邪熱が極盛で表邪を鬱閉したことを示し、気急の症候である。
(前に述べた「身熱甚だしく、陰陽みな静」の状態と比較すると、まだ程度は軽い。
邪盛で陰が虚しているので、うまく救陰できれば救うことができる。
汗が出て脈が躁盛のものでも、滋陰がうまくできれば救う機会はある。
陰陽みな静の状態は、邪が下焦陰分に深入して正気が抵抗できないのであるから、
死期はごく近い)
脈が盛躁であっても、汗が出て脈が平静になる場合は、
邪が外解し正気が回復したことを示し、予後は良好である。

熱病で陰精が涸渇した場合には針刺は禁忌であり、
以下の9つの病症を例としてあげる。

・汗が出ず顴部が赤く吃逆するのは、邪盛で胃陰が虚していることを示し、難治である。
・下痢して腹満が甚だしいのは、邪盛で脾陰が虚したことを意味し、治療困難である。
・目がぼやけるのは邪盛で精気が虚しているので、危急状態である。
・陽不足の老人・嬰児が脾陰不足で腹満を呈するときは、重症である。
・汗が出ず嘔し下血するのは、邪熱が盛んで正気も衰えており、難治である。
・舌本がびらんし熱が下らないのは、火盛で陰精が消耗しており、危急状態である。
・咳嗽・鼻出血があり汗が出ないのは、邪熱が肺絡に鬱し陰精が涸渇しており、難治である。
・骨髄から蒸すような熱感があるのは、邪熱が腎陰を損傷したのであり、けいれんするのは肝陰消耗したことを示し、いずれも重篤である。
・後弓反張(腰折)・けいれん(瘈瘲)・牙関緊急(歯噤)・歯ぎしり(齘歯)などの動風を引き起こすこともある。

以上はいずれも禁針であるが、適切な治法を行うことで救えることもある。

また、手の太陽小腸経と足の太陽膀胱経は顴部で交会し、太陽は水に属するが、
この部分が赤いのは、その水が火の影響をうけていることを示し、
熱病とみることができる。
太陽寒水の脈と厥陰風木の脈が同時にみられるのは、
水が火によって反克され、金気も火克をうけて子である水を生まず反って火を生じ、
火盛によって腎水が枯渇して肝木を養えなくなっていることを示し、死期が近い。
手の少陽三焦経と足の少陽胆経は頬前で交会し、
少陽は相火に属し、この部が赤いのは熱病であることを示す。
少陰の脈も同時にみられるときは、
少陰君火と少陽相火の二火が熾盛であることをあらわし、
腎水が虚損するために死期が近い。

続く


参考文献:
『黄帝内経素問』
『黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中医臨床のための温病条弁解説』医歯薬出版株式会社

新川

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