こんにちは、為沢です。
ある患者さまより、
「月の満ち欠けで体調の善し悪しを感じる」
御話を御伺い致しました。
東洋医学の理論で説明できる事例ですので
月による人体への影響を御紹介したいと思います。


”月始生、則血気始精、衛気始行。
月郭満、則血気実、肌肉堅。
月郭空、則肌肉減、経絡虚、衛気去、形独居。
是以因天時、而調血気也。”
『素問』「八正神明論」
「月初めて生じるときは、気血もなめらかに流れ始め、
衛気ものびやかに行りはじめる。
月が満ちて満月になると、気血は充実し、肌肉は頑強になる。
月が欠けはじめると、肌肉は痩せ衰え、
経脈は空虚になり、衛気も減退し、肉体だけが残る。」
『素問』「八正神明論」より
”日月相応也。故月満則海水西盛、
人血気積、肌肉充、皮膚致、
毛髪堅、腠理郄、烟後著。
当是之時、雖遇賊風、其入浅不深。
至其月郭空、則海水東盛、人気血虚、
其衛気去、形独居、肌肉減、皮膚縦、腠理開、
発毛残、腠理薄、烟後落、当是之時、
遇賊風則入也卒暴。”
『霊枢』「歳露論第七十九」

「日月の運行とも常に相応している。
故に月が満ちている時は、海水は西に盛んになり、
それに応じて人の気血もなめらかに流れ、
気血は充実し、肌肉は充ち、皮膚は緻密になり、毛髪は堅く
腠理は閉じる。賊風(ぞくふう…有害な性質を持った風で病を起こす)
の侵入を受けても、浅い部位に侵入するだけで深く入ることはない。
月が欠けてくると、海水は東に盛んになり、
それに応じて人の気血も虚し、体表の衛気も減少するので、
外見は平常通りでも、その肌肉は痩せ、皮膚は弛緩し、
湊理は開き、毛髮は折れ、皮膚の筋目も粗く薄く、
皮脂も剥落(はくらく)する。
この時、賊風にあえば、その病深く入り発病も急激となる。」
『霊枢』「歳露論第七十九」より


これは月の満ち欠けによる人体への影響を説いております。
満月の日には気血が充実してくるので、
普段から気血が弱っている人は体調が良くなってきます。
逆に、普段より気血が充実している人は気が溢れてしまいます。
満月の夜に精神が昂り、狼男に変身するという話は
気血が騒ぐという意味で説明ができます。
新月の日には気血が減少するため
普段から気血が弱っている人はさらに弱り易くなり、
普段から気血が充実している人は気が落ち着いてきます。
このため、虚証による慢性的な疾患で弱っている人は
新月の日に注意する必要があります。
満月・新月で体調の変化を敏感に感じる方いらっしゃると思います。
そのため、鍼灸師は月齢にも注意し、
患者さま一人一人体に合わせた施術をすることが
大事になって参ります。
 為沢

4 コメント

  1. 人の生死も月の動きと関係していますよね?
    私の出産のとき、実家の母が潮の満ち引きを気にしていました。
    「今の引き潮で生まれてこなかったから次かなぁと看護婦さんと話をしてたのよ~」
    とあとで聞いて面白いなあと思ったものです。
    祖母の臨終のときも容体が悪くなってからが長かったのでそのようなことを言ってました。
    女性の生理も月の周期とほぼ一緒だと聞きます。
    見えないつながりがあるのですね。

  2. 人の生死も関係して参ります。
    ある助産師さんの患者さんが
    満月の日と新月の日は出産が多いと仰っており、
    月齢が載っているカレンダーでないと
    仕事の管理ができないとも仰っていました。
    出産も月の満ち欠けが、
    人の気に大きく関係しているのでしょう。
    月と人の関係性は一見、
    スピリチュアルに見えますが
    人も自然の一部と考えれば
    何も違和感のない出来事かと思います。
    > 人の生死も月の動きと関係していますよね?
    > 私の出産のとき、実家の母が潮の満ち引きを気にしていました。
    > 「今の引き潮で生まれてこなかったから次かなぁと看護婦さんと話をしてたのよ~」
    > とあとで聞いて面白いなあと思ったものです。
    > 祖母の臨終のときも容体が悪くなってからが長かったのでそのようなことを言ってました。
    >
    > 女性の生理も月の周期とほぼ一緒だと聞きます。
    > 見えないつながりがあるのですね。

  3. はじめまして、こんにちは。
    月齢の話、大変興味深く拝見しました。
    ありがとうございます。
    肌にカミソリをあてるのは新月の頃が良いと聞きますが
    鍼の施術をして頂くのは、やはり新月時なのでしょうか?

  4. はじめまして。
    僕がここで言いたかったことは
    [太字][色:FF3333]施術者側が月齢に気を付けて
    患者さまの施術にあたること[/色][/太字]なので
    患者さまが、月齢を気にして
    施術を受けるタイミングを見計らうことはないですよ。
    また、「症状が出ていなくても鍼を受けて良いのですか?」
    と質問されることがよくあるのですが、
    御体が良い状態で診させて頂いた方が
    御体を補強し病の予防ができるので
    症状が出ていなくても施術を受ける意味はあります。
    どんな時でも患者さまの御体に合わせた
    施術を施すことが大事なのです。

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