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夕方のとある駅
夕方のとある駅

下野です。
本日は『諸病の主薬』の記事になります。

【原文】
積聚、須用三棱、莪朮、為主。
積在左、是死血、須用桃仁、紅花、為主。
積在右、是食積、須用香附、枳実、為主。
積在中、是痰飲、須用半夏、為主。
黄疸、須用茵陳、為主。

<第十六に続く>


【解説】
積聚には、三棱、莪朮を使用すべし。

積が左にあるものは死血である。桃仁、紅花を使用すべし。

積が右にあるものは食積である。香附、枳実を使用すべし。

積が中にあるものは痰飲である。半夏を使用すべし。

黄疸には、茵陳を使用すべし。

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三棱さんりょう

三棱『中医臨床のための中薬学』より
三棱『中医臨床のための中薬学』より

ミクリ科の多年草、ミクリやエゾミクリ、ヒメミクリの塊根。
またはカヤツリグサ科の多年草、ウキヤガラの塊根。
性味:苦・平
帰経:肝・脾
効能:
①破血行気
・血瘀気結の腹内腫瘤に。
・血瘀の無月経や痛経、産後瘀阻の腹痛に。
方剤例 → 三棱丸。
・子宮外妊娠の破裂による腹内血腫に。
方剤例 → 宮外孕方。

②消積止痛
・食積の停留による腹痛や腹満に。
方剤例 → 三棱煎。

莪朮がじゅつ

莪朮『中医臨床のための中薬学』より
莪朮『中医臨床のための中薬学』より

ショウガ科ガジュツの根茎を蒸し、
そして乾燥させたもの。
性味:苦・辛・温
帰経:肝・脾
効能:
①行気破血
・気滞血瘀の腹内腫瘤や無月経、痛経に。
方剤例 → 三棱丸。
・肝腫や脾腫に用いる。
・子宮外妊娠の破裂による腹内血腫に。
方剤例 → 宮外孕二号方。
・打撲の腫れや痛みに。

②消積止痛
・飲食積停の腹痛や悪心、嘔吐に。
方剤例 → 莪朮丸。

③その他
・三棱と共に注射剤を作り、
子宮頸癌や皮膚癌、口唇癌に使用する。

桃仁とうにん

桃仁
桃仁

バラ科のモモやノモモなどの成熟種子。
性味:苦・甘・平
帰経:心・肝・大腸
効能:
①破瘀行血
・血瘀の無月経や月経痛、腹腔内の腫瘤に。
方剤例 → 桃紅四物湯。
・産後瘀阻の悪露停滞や下腹部痛、下腹の腫瘤等に。
方剤例 → 生化湯。
・蓄血の狂躁状態、下腹部が硬くてはるの症状に。
方剤例 → 抵当湯。
・打撲外傷の内出血や腫れ、痛みに。
方剤例 → 復元活血湯・桃仁湯。
・火毒壅盛の気滞血瘀による肺化膿症や虫垂炎に。
方剤例 → 大黄牡丹皮湯・腸癰湯。

②潤腸通便
・腸燥の便秘に。
方剤例 → 五仁丸・潤腸丸。

③その他
・気逆の咳嗽や胸郭脾痞満に。
方剤例 → 双仁丸。

紅花こうか

紅花『中医臨床のための中薬学』より
紅花『中医臨床のための中薬学』より

キク科のベニバナの花。
性味:辛・温
帰経:心・肝
効能:
①活血通経
・血瘀の無月経や月経痛、腹内腫瘤に。
方剤例 → 桃紅四物湯・活血通経湯・紅藍花酒・紅花湯。
・難産や死産の娩出に。
方剤例 → 脱花煎。

②袪瘀止痛
・打撲外傷の内出血の痛みや腫れに。
方剤例 → 八厘散。
・熱毒内盛、気滞血瘀の皮膚化膿症の腫れや痛みに。
・血瘀の狭心痛みに。
方剤例 → 冠心Ⅱ号。

香附こうぶ

香附『中医臨床のための中薬学』より
香附『中医臨床のための中薬学』より

カヤツリグサ科のハマスゲの細根などを除いた根茎。
性味:辛・微苦・微甘・平
帰経:肝・三焦
効能:
①理気解鬱:
・肝鬱気滞による胸の脹痛、腹満、憂鬱など。
方剤例→柴胡疎肝散。
・気、血、痰、湿、熱、食鬱による胸苦しい、嘔吐、消化不良などに。
方剤例→越鞠丸。
・寒凝気滞による腹痛やお腹の張りに。
方剤例→良附丸。

②調経止痛:肝鬱気滞による月経の乱れや痛みに。
方剤例→香附芎帰湯・艾附丸。

枳実きじつ

枳実
枳実

ミカン科のダイダイ、イチャンレモン、カラタチなどの幼果。
性味:苦・微寒
帰経:脾・胃・大腸
効能:
①破気消積
・調胃湿熱積滞の腹痛や便秘、或いは下痢などに。
方剤例 → 枳実導滞丸。
・熱結の便秘や腹満、腹痛に。
方剤例 → 大承気湯。
・気滞血瘀の腹痛や腹満などに。
方剤例 → 通導散・枳実芍薬散。

②化痰消痞
・胸脇の痰飲で胸が痞えて苦しいや呼吸促迫に。
方剤例 → 導痰湯・滌痰湯。
・痰濁阻滞胸陽の胸痛や胸の痞えなどに。
方剤例 → 枳実薤白桂枝湯。
・寒疑気滞の胃痛や上腹部の痞えに。
方剤例 → 橘皮枳実生姜湯。
・飲食停滞・脾胃不運の上腹部の痞えや腹痛、食欲不振に。
方剤例 → 枳実消痞丸・枳朮丸。

半夏はんげ

半夏
半夏

サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。
性味:辛・温・有毒
帰経:脾・胃
効能:
①燥湿化痰
・湿痰の咳嗽や痰が多い、胸苦しいなどに。
又は痰濁のめまいや動悸、不眠症などに。
方剤例 → 二陳湯・半夏白朮天麻湯。
・上記に熱証を伴うもの。
方剤例 → 温胆湯・清気化痰丸。
・風痰による嘔吐、頭痛、めまいなどに。
方剤例 → 玉壺丸・青州白丸子。

②降逆止嘔
・胃寒や痰飲の嘔吐に。
方剤例 → 小半夏湯・小半夏加茯苓湯。
・胃虚の嘔吐に。
方剤例 → 大半夏湯・乾姜人参半夏丸。
・胃熱の嘔吐に。
方剤例 → 黄連橘皮竹筎半夏湯・温胆湯。

③消痞散結
・痰熱の心窩部の痞えに。
方剤例 → 半夏瀉心湯。
・痰熱の小結胸で心窩部に圧痛があるときに。
方剤例 → 小陥胸湯。

④その他
・老人の虚秘に。
方剤例 → 半硫丸。
・生半夏を、皮膚化膿症に用いる。

茵陳いんちん

茵蔯『中医臨床のための中薬学』より
茵蔯『中医臨床のための中薬学』より

キク科カワラヨモギの幼苗。
性味:苦・微寒
帰経:脾・胃・肝・胆
効能:
①清熱除湿・退黄
・湿熱燻蒸の黄疸で尿が濃く少量、腹満、発熱などに。
方剤例 → 茵陳蒿湯・胆道排石湯。
・肝胆の湿熱で易怒、胸脇痛、口が苦いなどに。
方剤例 → 清胆利湿湯・清胆瀉火湯。
・脾胃の湿熱で腹満や泥〜水様便、浮腫などに。
方剤例 → 茵陳五苓散。
・寒湿による黄疸で冷えや、気力が無いなどに。
方剤例 → 茵陳四逆湯。
・暑湿や湿温の初期にも。
方剤例 → 甘露消毒丹・一加減正気散。
・湿熱内蘊の湿疹の痒みや滲出などに。

②その他
・軽い疏肝作用があるため、陰虚で強い疏肝が出来ないときに。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『本草綱目』 国立国会図書館デジタルコレクション
『東方栄養新書』 メディカルユーコン

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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