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この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。



3/15(水)
太陽病中篇より

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(78条)
傷寒、五六日、大下之後、身熱不去、心中結痛者、未欲解也、梔子豉湯主之。

前回の続きである。
「心中結する」とは、邪熱が停滞しているだけでなく
血の滞り、すなわり瘀血とする見解もある。
前条よりも症状が重いが、
胸中の熱が結んでいることが原因であるため、
前条と同様に梔子豉湯を用いる。

温病条弁に、梔子豉湯を用いるのは
「脈で寸位が盛んで中焦に病無し、
邪が気分に入ったばかりのとき」
と記されているようである。
すなわち上焦において裏熱がある場合といえる。

(79条)
傷寒 、下後、心煩、腹満、臥起不安者、梔子厚朴湯主之。

「心煩」「臥起不安者」と、胸中に邪熱があるのは前条と同じであるが、
「腹満」とあり、中焦にも症状が及んでいる。
胸中の邪熱が中焦にも伝わっている。
この場合、梔子厚朴湯(山梔子、厚朴、枳実)で、
胸中の熱を取るだけでなく中焦の邪も散じる。
ちなみに、中焦で熱邪が強まって便秘になった場合には
陽明病にも用いる小承気湯(大黄、厚朴、枳実)を用いる。

脈経には、このような病位・邪に対しては
「吐煩、泄満するべし」とある。
治法を非常に分かりやすくまとめている印象がある。

(80条)
傷寒、医以丸薬大下之、身熱不去、微煩者、梔子乾薑湯主之。

これは医師によって処方された、強く下すための丸薬を服用して、
体の熱が去らず煩の症状がわずかにある場合には
梔子乾薑湯を用いるという内容である。

もともと脾気は充実している人が
丸薬によって一時的に脾気が損傷されているとということである。
そのため、中焦の気を高める乾姜を配合している。

さて、一時的に脾気を損傷している場合について述べてきたが、
もともと脾気が弱い人はどうなのだろうか。
これは次の条文(80条)にもあるように、
梔子豉湯は用いてはならず、
別の方剤を用いるということになる。

(81条)
凡用梔子湯、病人旧微溏者、不可与服之。

(続く)


 

参加者:下野、新川、大原、盧

 

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