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下野です。
今回は久しぶりの『薬性の歌』の記事になります。
一般的な認識であれば
「あぶないんじゃないの?」と思われる
生薬が登場しますが、
これも使い方さえ間違えなければ、
立派な薬となります。

では本文に参ります。


【原文】
霊砂性温、能通血脈、殺鬼辟邪、安魂定魄。
砒霜有毒、風痰可吐、截瘧除哮、能消沈痼。
雄黄甘辛、辟邪解毒、更治蛇虺、喉風瘜肉。
珍珠気寒、鎮驚除癇、開聾磨翳、止渇堕痰。
牛黄味苦、大治風痰、安魂定魄、驚癇霊丹。

<第四十三に続く>


【解説】
霊砂は性温。
血脈をよく通し、
殺鬼し、邪を避け、魂を安んじ魄をしずめる。

砒霜は有毒。
風痰を吐かし、
瘧を治療し、哮を除き
長年の病を改善させる。

雄黄は甘辛。
邪を避け、解毒する。
蛇やマムシの咬傷、
喉の炎症、鼻茸に用いる。

珍珠は気寒。
心を鎮め驚や癇を除く。
聾を開き、渇を止めて痰をくだす。

牛黄は味苦。
風痰を治し、魂を安じて魄を定める。
驚や癇の霊薬である。

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霊砂れいしゃ

人工的に製した硫化水銀で、
銀朱とも呼ぶ。
性味:辛・温・有毒
帰経:肺・脾・胃
効能:
①燥湿提膿・療瘡殺虫
・熱傷や疥癬、湿疹等に。
・慢性化膿瘡、下腿の潰瘍に。
・回虫に。

②祛痰破積
・胸中の痰気積結に。

砒霜ひそう

ヒ素を含む天然鉱物。
砒石とも呼ぶ。
性味:辛・酸・大熱・大毒
帰経:肺・脾・胃
効能:
①蝕瘡祛腐
・熱病で発生する壊死性の歯齦炎に。
方剤例 → 牙疳散。
・外痔核に。
方剤例 → 枯痔散。
・頚部リンパ腫に。

②截瘧
・瘧疾の発作前に。
方剤例 → 截瘧丸。

③祛痰平喘
・寒飲の喘息発作に。
方剤例 → 紫金丹。

雄黄ゆうおう

ヒ素の硫化鉱物で、石黄とも呼ばれる。
性味:苦・辛・温・有毒
帰経:肝・胃
効能:
①解毒殺虫
・皮膚の化膿症に。
方剤例 → 醒消丸。
・皮膚の化膿症・疥癬・毒蛇の咬傷に。
方剤例 → 二味抜毒散・雄柏散。
・瘧疾に。
方剤例 → 紫金錠。
・回虫などの腸内寄生虫に。
方剤例 → 牽牛丸。

②燥湿祛痰
・重症の喉痺、癲癇で痰が多いものに。

珍珠ちんじゅ

海水産、もしくは淡水産の真珠。
性味:甘・鹹・寒
帰経:心・肝
効能:
①鎮心定驚
・心肝火旺の動悸や驚きやすい、痙攣等に。
方剤例 → 金箔鎮心丸。

②清肝明目・退翳
・肝熱による目の充血や痛み・異物感・角膜の混濁に。
方剤例 → 七宝膏・八宝眼薬。

③解毒・生肌斂瘡
・皮膚の潰瘍で、傷口が癒合しないときに。
方剤例 → 生肌散。
・咽喉・歯齦のびらんや腐蝕に。
方剤例 → 珠黄散。

牛黄ごおう

ウシの胆嚢、もしくは胆管中の結石。
性味:苦・涼
帰経:心・肝
効能:
①開竅豁痰
・熱病で痰熱蒙閉心窮の意識障害や高熱等や、
痰熱壅盛の中風閉竅の意識障害に。
方剤例 → 牛黄清心丸・安宮牛黄丸。

②熄風定驚
・熱盛の痙攣・意識障害・高熱に。
方剤例 → 牛黄散・牛黄抱竜丸。

③清熱解毒
・頚部リンパ節腫・しこり・肺化膿症・虫垂炎等に。
方剤例 → 犀黄丸。
・皮膚化膿症に。
方剤例 → 牛黄解毒丸。
・火熱上炎の咽喉の腫れや痛み・口内炎・ジフテリア性咽頭炎等に。
方剤例 → 八宝吹喉散。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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