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桜 (3月下旬)
桜 (3月下旬)

こんにちは下野です。
前回に引き続き
『薬性の歌』の記事になります。


【原文】
使君甘温、消疳清濁、瀉利諸蟲、総能除却。
赤石脂温、保固腸胃、潰瘍生肌、渋止瀉痢。
青黛酸寒、能平肝木、驚癇疳痢、兼除熱毒。
阿膠甘温、止咳膿血、吐衄胎崩、虛羸可啜。
白礬味酸、善解諸毒、治症多能、難以尽述。

<第三十六に続く>


【解説】
使君子は甘温。
疳積を消して、濁を清す。
瀉痢や回虫等に用い、よく取り除く。

赤石脂は温。
腸胃を保固したり、
皮膚化膿症を治して傷口を消したり
渋腸止瀉で下痢をも治す。

青黛は酸寒。
肝木を平定し、驚癇や疳痢に。
兼ねて熱毒を除く。

阿膠は甘温。
喀血と止め、吐血や胎崩、
血虚の者に用いる。

白礬は味酸。
諸毒を解毒し、
治症多能である。
述べ尽くし難い。

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◉使君子

シクンシ科インドシクンシの成熟した果実。
性味:甘・温
帰経:脾・胃
効能:
①殺虫消積
・回虫が原因の腹痛や蟯虫に。
方剤例 → 胆道駆蛔湯・使君子丸・治蟯虫方。

②健脾療疳
・小児の疳積に。
方剤例 → 治脾疳方・局方肥児丸。
・疳積の重症で四肢は痩せて、腹が膨満しているときに。

◉ 赤石脂

酸化第二鉄を多量に含む雲母源の粘土塊で、
カオリナイトを主成分とする。
性味:甘・酸・渋・温
帰経:腎・大腸
為沢先生による解説はこちら
【古医書】傷寒論: 弁少陰病脈証并治 三百五章・三百六章・三百七章
本多先生による解説はこちら
風引湯 / 腹證奇覧

カオリナイトは
中国の粘土の産地で有名な高嶺(カオリン)に由来し、
カオリナイトを多く含んだ粘土は
焼き物の原料として採掘されているようです。

◉青黛

マメ科のキアイや
キツネノマゴ科やタデ科の植物から
精製したインジコを含んだ粉末。
性味:鹹・寒
帰経:肝
効能:
①解毒医瘡
・火熱瘡毒(皮膚化膿症)に外用。
・口内炎や咽喉潰瘍、咽の腫れに外用。
・結膜炎に。
・湿疹の參出や痒みを伴う皮疹に外用。

②涼血化斑
・熱毒の発斑に。
・血熱妄行の吐血や鼻出血に。

③清肝泄火
・肝火犯肺の咳嗽や血痰に。
方剤例 → 黛蛤散。

◉阿膠

阿膠
阿膠

ウマ科のロバやウシなどの除毛した皮を
水で煮て製したニカワ塊。
性味:甘・平
帰経:肺・肝・腎
為沢先生による解説はこちら
【古医書】傷寒論: 弁少陰病脈証并治 三百三章・三百四章
本多先生による解説はこちら
猪苓湯 / 腹證奇覧

阿膠は女性の美と健康を保つ良薬とされ、
かつては楊貴妃や西太后も
愛用していたとされています。

◉明礬(白礬)

天然の明礬石を精製した結晶。
性味:酸・渋・寒
帰経:肺・脾・大腸・肝・胆
効能:
①解毒医瘡・収湿止痒
・皮膚化膿症に外用。
方剤例 → 二味抜毒散。
・膿性の耳漏に。
方剤例 → 治膿耳方。
・鵞口瘡に外用。
・湿疹や疥癬に外用。

②渋腸止瀉・収斂止血
・慢性の下痢や血便、性器出血に。
方剤例 → 玉関丸。

③袪風痰
・中風痰厥の意識障害や喘鳴、痰などに。
方剤例 → 稀涎千緡湯・稀涎散。
・癲癇に。
方剤例 → 白金丸。

④清熱退黄
・湿熱の黄疸に。
方剤例 → 硝石礬石散。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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