生薑
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張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁陽明病脈証并治 二百五十九章と二百六十章。
二百五十九章では、太陰病寒湿で発黄した場合の証治について。
二百六十章では、陽明病の湿熱発黄の証治について詳しく述べております。


二百五十九章

傷寒發汗已、身目爲黄、所以前者、
以寒濕在裏不解故也。以爲不可下也、於寒濕中求之。

和訓:
傷寒発汗し已り、身目を為し、然る所以のものは、
寒湿裏に在りて解せざるを以ての故なり。
おもえらく下すべからずなりと。寒湿の中に於いて之を求めよ。


傷寒發汗已、身目爲黄、所以前者、以寒濕在裏不解故也。
”傷寒發汗已”より、邪は発汗とともに外に追い出され、
表邪は解けているはずだが、発汗後身体や目が黄色くなるのは
病人の脾陽がもともと虚して寒湿があり、
発汗後中焦の脾陽がますます虚して寒湿が滞って気化せず
胆液が経を巡らず散溢して、発黄したからである。

以爲不可下也、於寒濕中求之
この場合は瀉下してはならない。
中焦を温めて脾陽を高め、湿を化すことが必要になる。

提要:
太陰病寒湿で発黄した場合の証治について。

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
傷寒の病を発汗した後、全身および目が黄染した。
このようになるのは、寒湿の邪気が裏にあって解消されないからだ。
治療する場合は攻下法を用いてはならず、
寒湿の原因を求めて治療せねばならない。


二百六十章

傷寒七八日、身黄如橘子色、
小便不利、腹微滿者、茵蔯蒿湯主之。

和訓:
傷寒七八日、身黄ばむこと橘子の色の如く、
小便利せず、腹微かに満する者は、茵蔯蒿湯之を主る。四十二。


傷寒七八日、身黄如橘子色、
小便不利、腹微滿者、茵蔯蒿湯主之
傷寒証で7〜8日経過すれば表邪が裏に内伝して熱化し、
自汗出、小便自利等の陽明裏熱証が出現する。
しかし、陽明と太陰の合病では
湿熱が鬱滞し、気機がスムーズに巡らず、肝胆の疏泄作用が失調する。
これにより体はみかん色を呈す。

湿が多いために小便がスムーズに出ない。
湿熱が胃腸に滞るために腹部が膨満する。
この場合は茵蔯蒿湯で瀉熱・除穢・利湿を行っていく。

茵蔯蒿湯

こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁陽明病脈証并治 二百三十六章

提要:
陽明病の湿熱発黄の証治について。

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
傷寒の病に罹って七八日経ち、身体は黄染して橘子のような色となり、
小便は減少し、腹部が軽度に膨満している場合は、
茵蔯蒿湯で治療する。第四十二法。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:為沢 画

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是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢


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