Coffee & Donut
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こんにちは、為沢です。
構図が大原さんのブログの画と似てますが、
ドーナツ屋にて色々思案してる時に描いた絵です。
(色付けなどの仕上げは家でやりました)
脇役のスプーンですが、これの曲線と光の反射の表現が難しく、
描いてて不満が残りました…。悔しいのでまたスプーン描いてみます。


ここからは張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁陽明病脈証并治 二百三十六章。
この章では、陽明病で湿熱により発黄する証治について詳しく述べております。


二百三十六章

陽明病、發熱、汗出、此爲熱越、不能發黃也。
但頭汗出、身無汗、劑頸而還、小便不利、
渇引水漿者、此爲瘀熱在裏、身必發黃、茵蔯蒿湯主方。方二十三。

茵蔯蒿六兩 梔子十四枚、擘 大黄二兩、去皮
右三味、以水一升、先煮茵蔯、減六升、
内二味、煮取三升、去滓、分三服。
小便當利、尿如皀莢汁狀、色正赤、一宿腹減、黃從小便去也。

和訓:
陽明病、發熱して汗出ずるものは、
此れ熱越と為し、黃を発すること能わざるなり。
但だ頭に汗出で、身に汗なく、頸を剤えて還り、小便利せず、
渇して水漿を引くものは、此れ瘀熱裏に在りと為し、
身必ず黃を発し、茵蔯蒿湯之を主る。方二十三。

茵蔯蒿六両   梔子十四枚、擘く  大黄二両、皮を去る
右三味、水一升を以て、先ず茵蔯を煮、六升を減じ、
二味を内れ、煮て三升を取り、滓を去り、三服に分かつ。
小便当に利すべし。尿皂莢汁の狀の如く、色正赤、一宿にして腹減じ、黃は小便従り去るなり。


陽明病、發熱、汗出、此爲熱越、不能發黃也
熱邪が胃に内伝し化燥して津液を蒸騰させれば、
必ず発熱して汗出する等、熱が汗とともに外に出ていく
症状がみられるので黄疸になることはない。

但頭汗出、身無汗、劑頸而還、小便不利、
渇引水漿者、此爲瘀熱在裏、身必發黃、茵蔯蒿湯主方
この章では、陽明の燥熱が内で太陰の湿化と合わさって
湿熱を生じ中焦で留まっている。
熱邪が化燥したが成実にならず、
湿により阻まれたために熱が外に出ず、上方だけを塞いでいる。
それにより頭から汗出するが身体特に頸から下は無汗なのである。

湿熱により阻まれ、気機がスムーズに往来せず、
三焦の決瀆する力が失われるため小便がスムーズに出ない。

胃気の熱勢が盛んであるから
口が乾いて水を多く飲みたがる。
しかし水を多く飲んでも口の乾きは癒えるどころか
内で増々多湿となり、胃腸に湿熱が鬱滞し、
肝胆の疏泄作用に影響を与え、胆汁が経絡より溢散して
全身に黄疸が現れるのである。

この場合、茵蔯蒿湯を用いる。
茵蔯を多く用いて利湿・清熱させ黄疸を除く。
大黄は胃腸の湿熱が下方に行るように導いていく。
梔子は三焦の鬱熱を洩らして、水道を通していく。
それにより小便がよく出るようになるので黄疸は排尿により治る。

茵蔯蒿湯

茵蔯蒿
茵蔯蒿

茵蔯
基原:
キク科のカワラヨモギの幼苗。

茵蔯は苦・微寒で、苦で燥湿し寒で清熱し、
清芬の気があって脾・胃・肝・胆の気分に入り
滲泄して利小便し、清熱除湿・退黃の効能をもち
黄疸に対する要薬である。
湿熱燻蒸による陽黃の小便短赤・身目皆黃に適し、
適当な配合を行えば寒湿鬱滞・胆汁外溢による
色黃晦暗の陰黃にも有効である。
また、暑温・湿温初起、湿瘡瘙痒などにも用いる。

山梔子
山梔子

山梔子
基原:アカネ科のクチナシ、
またはその他同属植物の成熟果実。

球形に近いものを山梔子、
細長いものを水梔子として区別する。
山梔子は苦寒で清降し緩除に下行し、
心・肺・三焦の火を清して利小便し
気分に入って瀉火除煩・泄熱利湿するとともに、
血分に入り凉血止血・解毒に働く。
熱病の熱蘊胸膈による心煩懊憹、
熱欝血分による吐衄下血・瘡癰熱毒、
湿熱蘊結による淋閉黄疸などの要薬である。

大黄
大黄

大黄
基原:タテ科のダイオウ属植物、
およびそれらの種間雑種の根茎。しばしば根も利用される。

大黄は苦寒沈降し気味ともに厚く、
「走きて守らず」で下焦に直達し、
胃腸の積滞を蕩滌するので、
陽明腑実の熱結便秘・壮熱神昏に対する要薬であり
攻積導滞し瀉熱通腸するため、
湿熱の瀉痢・裏急後重や食積の瀉痢・大便不爽にも有効である。
このほか、瀉下泄熱により
血分実熱を清し清熱瀉火・凉血解毒に働くので
血熱吐衄・目赤咽腫・癰腫瘡毒などの上部実熱にも用い、
行瘀破積・活血通経の効能をもつために、
血瘀経閉・産後瘀阻・癥瘕積聚
跌打損傷にも適し、
湿熱を大便として排出し清化湿熱にも働くので、
湿熱内蘊の黄疸・水腫・結胸にも使用する。
外用すると清火消腫解毒の効果がある。

提要:
陽明病で湿熱により発黄する証治について。

訳:
陽明病に罹り、発熱して汗が出ている場合は、
熱邪も外に出ており、身体の黃染を来たすことはない。
しかし頭部にのみ汗が出て、身体には汗がなく、
頭部の汗は頸の所までしか出ておらず、小便が出にくく、
口渇があって水漿を飲みたがる場合は、裏に熱邪が瘀滞しているので、
身体はやがて黃染するが、茵蔯蒿湯で治療するとよい。処方を記載。第二十三法。
茵蔯蒿六両   梔子十四個、裂く  大黄二両、皮を除く
右の三味は、水一斗二升の水で、まず茵蔯を、[水が]六升減るまで煮てから、
残りの二味を入れ、三升になるまで煮て、滓を除き、三回に分けて服用する。
これを服用すると小便がよく出るはずだ。
尿色は皂莢汁のように、真っ赤であるが、一晩たてば腹満は軽減し、黄疸は小便とともに出ていく。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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