こんにちは、本多です。

象

以前より先輩方から、
「何かを作り上げる経験」は
鍼に繋がる部分が多くあると教わっておりました。

ということで、
粘土をコネコネ
作品を一つ
作ってみました。

完成したのが上の写真のものです。
耳がでかくて鼻が長けりゃ
象に見えなくはないですよね(^^ゞ

イメージを具現化できる訓練、
継続していきます。


さて、
今回は腹證奇覧に掲載しております、
柴胡加竜骨牡蠣湯についてです。

柴胡加竜骨牡蠣湯

柴胡加竜骨牡蠣湯
柴胡加竜骨牡蠣湯

右図の如く、
胸脇満して、臍上心下の動気つよく、
胸中ダクダクとして心安らからず。
因って心煩、驚狂するもの、柴胡加竜骨牡蠣湯なり。
之を柴胡桂枝乾姜湯の腹中動あるものに比するに、
此の方、寒なく、却って水気多きを見る。
凡そ腹中動気つよく、煩驚するものは、
水気の候多しと知るべし。
論に曰く、
「傷寒八九日、之を下し、
胸満煩驚、小便不利、譫語、一身悉く重く、
転側術からざる者は、柴胡加竜骨牡蠣湯之を主る」
(傷寒八九日、いまだ内実せざるもの、
之を下して内燥擾して、胸満、心煩、驚狂を発し、
衝逆して小便不利し、熱、内に入りて譫語し、
水気去ること能わずるを以て、一身悉く重く、
束るに、外邪を以てして転側すべからざるもの。
仍、柴胡の地位にして、是の諸證うぃ致すものとす。
故に鎮驚、利水の薬を加えて、熱を解するを主とし施すなり)
案ずるに、此の方剤、諸家び説一定せず。
或の曰く、「小柴胡湯にして、龍骨牡蠣を加えるもの。
或の曰く、「大柴胡湯にして、此の二味を加るもの」、
として、今の傷寒論、及び玉函に載する所の、
十一味なるものは、却って之を疑いて散らす。
其の説、皆、方名に依り、
他に例して之を言うものにして、
見るところなきに非ずといえども、
亦、別に微するに足るものなし。
何を以て定めて、其の方とすることを得ん。
然れども、本文の小便不利、譫語、身重等の證に依るときは、
茯苓・桂枝・大黄あるも、亦不可とすべからざるに似たり。
且つ、余が門、往々玉函の方を用いて、
試験あるを見るときは、復た何ぞ疑わん。
抑々大小柴胡も亦、證に随いて此の二味を加えれば、
徹するに足らずといえども、敢えて議すべきに非ざるものか。
(或曰く、「婦人、瘀血を兼ね、動気強く、
大便不通、心志・安からざるもの、
大柴胡加龍骨牡蠣、効あり」と。
愚曰く、男女を問わず、動気つよく、
胸満、便秘、心志・安からざるもの、
玉函の方も亦、しばしば経験すること有り)


【柴胡加竜骨牡蠣湯:組成】

柴胡(さいこ)

柴胡
柴胡

セリ科のミシマサイコ、またはその変種の根。
性味:苦・微辛・微寒
帰経:肝・胆・心包・三焦
主な薬効と応用
①透表泄熱:外感表証の表熱に用いる
方剤例→柴葛解肌湯
②疎肝解鬱:肝鬱気滞の憂鬱・イライラ・胸脇部の張痛、
月経不順などの症候時に用いる。
方剤例→四逆散
③昇挙陽気:気虚下陥の慢性下痢・脱肛・子宮下垂などに用いる。
方剤例→補中益気湯
備考:昇発の性質を持つので、虚証の気逆不降や陰虚火旺、
肝陽上亢・陰虚傷津などに用いてはならない。



竜骨(りゅうこつ)

古代の大型哺乳動物の化石。
種々の原動物が知られ、
主なものにゾウ・サイ・ウマ・シカ・ウシ類のものがある。
性味:甘・渋・平
帰経:心・肝・腎
主な薬効と応用:
①鎮心安神:心神不寧の動悸・健忘・不眠・多夢・驚きやすいなどの
症候時に用いる。
方剤例⇒桂枝加竜骨牡蠣湯
②平肝潜陽:肝陰虚陽亢による頭のふらつき・めまいなどの症候時に用いる。
方剤例⇒鎮肝熄風湯
③収斂固脱:陽虚の自汗に用いる。
方剤例⇒二加竜牡湯
④生肌斂瘡:皮膚の潰瘍や外傷出血時に用いる。
備考:湿熱や実邪には使用してはならない。



牡蠣(ぼれい)

牡蠣
牡蠣

イタボガキ科のマガキ、
イタボガキやその他同属動物の貝殻で、
通常は左側が利用される。
性味:鹹・渋・微寒
帰経:肝・胆・腎
主な薬効と応用:
①鎮驚安神:心神不寧による
驚きやすい・ビクビクする・焦燥感、
不眠・多夢・動悸などの症候に用いる。
②益陰潜陽:熱病傷陰・虚風内動による
四肢の引きつり・ふるえなどに用いる。
方剤例⇒二甲復脈湯
③収斂固脱:自汗・盗汗時に用いる。
方剤例⇒牡蠣散
④軟堅散結:瘰癧・痰核・肝腫・脾腫などの症候時に用いる。
方剤例⇒消瘰丸
備考:虚寒に用いてはならない。



桂枝(けいし)

桂枝
桂枝

クスノキ科のケイの若枝またはその樹皮。
性味:辛・温・甘
帰経:肝・心・脾・肺・腎・膀胱
主な薬効と応用
①発汗解肌:風寒表証の頭痛・発熱・悪寒・悪風などの症候時に用いる。
方剤例⇒桂枝湯
②温通経脈:風寒湿痺の関節痛時に用いる。
方剤例⇒桂枝附子湯
③通陽化気:脾胃虚寒の腹痛時などに用いる。
方剤例⇒小建中湯
④平衡降逆:心気陰両虚で脈の結代・動悸がみられるときなどに用いる。
方剤例⇒炙甘草湯
備考:麻黄の発汗作用には劣るものの温経散寒の作用の効力は強く、
解肌発汗して寒邪を散じることができる。



茯苓(ぶくりょう)

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃
主な薬効と応用
①利水滲湿:水湿停滞による尿量減少・浮腫などに用いる。
方剤例⇒四苓散
②健脾補中:脾虚の食欲不振・元気がない・腹鳴・腹満、
泥状便や水様便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯
③寧心安神:心神不寧の不眠・不安感・驚きやすい・心悸などの症候に用いる。
方剤例⇒帰脾湯
備考:性質が緩やかであるところから補助薬として用いることが多い。



大黄(だいおう)

大黄
大黄

タデ科のダイオウ属植物の根茎や根。
性味:苦・寒
帰経:脾・胃・大腸・肝・心包
主な薬効と応用:緩下・駆瘀血
①瀉熱通腸:胃腸の実熱による、
便秘・腹痛・高熱・意識障害などに用いる。
方剤例⇒大承気湯
②清熱瀉火:火熱上亢による、
目の充血・咽喉の腫痛・鼻出血など上部の火熱の症候に用いる。
方剤例⇒三黄瀉心湯
③行瘀破積:血瘀による無月経や腹痛時に用いる。
方剤例⇒復元活血湯
④清火湿熱:湿熱の黄疸時に用いる。
方剤例⇒茵蔯蒿湯
備考:生用すると瀉下の働きが強くなり、
酒を吹きかけ火で焙ると上部の火熱を清し活血化瘀の働きが強くなり、
酒とともに蒸すと瀉下の力が緩やかになり、
炒炭すると化瘀止血に働く。



鉛丹(えんたん)
黒鉛を製錬して得た橙紅から橙黄色の粉末化合物。
性味:辛・微寒・有毒
帰経:心・脾・肝
主な薬効と応用:
①解毒止痒:癰腫病瘡で瘡口がなかなか収斂しないときや湿疹で滲出液が多い時に用いる。
方剤例⇒桃花散
②墜痰鎮驚:熱痰擾心による驚きやすい・動悸・不眠・胸苦しいなどの症候時に用いる。
方剤例⇒柴胡加竜骨牡蠣湯
備考:虚寒には禁忌


【柴胡加竜骨牡蠣湯:効能】

表証に対して誤って攻下してしまい、
邪が内陥、おもに少陽経だが、厥陰経にも影響して、
気機が阻滞してしまった場合に用いる。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧翼 二編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004922

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多


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